体脂肪率を測るとき −身体サイズと体密度―

体脂肪率を測るとき −身体サイズと体密度―

 

佐藤光毅(弘前大学)

 

体脂肪率を評価する体密度法は、水中体重の測定と、肺残気量の測定(酸素再呼吸法:男子21、女子1.51)によってなされる。%Fatの算出はBrozek(196)の式が本邦で広く用いられており、本報告もこれによって算出した。

対象は、1991 男子44人、年齢1954歳。 19911993 女子27人、年齢1446歳。19931996 体育専攻学生 男子 延べ69人、女子 延べ33人。1994 一般学生 男子15人。19921997 スピードスケート、クロスカントリースキー高校選手、男子 延べ211人、女子 延べ84人、計 男子356人、女子156人。さらに、BMIの大きいものと小さいものの対象として日本体育大の斎藤講師のデター(1997)の相撲部17人、体操競技女子12人をも含めて身体サイズと体密度について考えてみたい。

BMIと体脂肪量とはよく相関するといわれているが、男子について対象順に0.5010.5380.181、一般学生0.856、相撲0.920と算出され、女子について同様にみると0.6890.7400.524、体操女子0.221と算出され男子より女子の方が相関が高い傾向にあり、男子でも一般学生、相撲が高く算出され、冬季競技種目高校選手たちの標準偏差の小さいことが相関係数に反映されたものと考えられる。女子においては体操が男子高校選手と同様の傾向にあった。以上のことから、BMIも他の本格指数と同様に体脂肪率との相関は、体脂肪率の高い群で高くなる傾向にあるといえよう。

体脂肪は身体が生理機能を営むうえで重要な役割を果たしており、脂肪そのものは決して悪役ではない。ある一定量の脂肪量は健康な身体機能を保つために不可欠のものである。

この事を象徴的に示された成績について紹介すると、体密度の最も高い値は1.0923でこのもののBMI22.0、%Fat4.18であった。ちなみに、このものは皮膚疾患が顔面にみられていた。女子では1.0838BMI16.6、%Fat7.41でこのものも男子と同様に体調を大きく崩していたことが印象的であった。

男子において最も低い値は相撲の1.0007BMI50.9(身長と体重は178.0161.2)、%Fat42.5で水中体重は-0.47であった。残気量の記載がされていないので、前述のBrozeksh気から残気量を求めると37C1669mlとなり残気量の持つ意味は大きい。ブランコ式では測れなかったものが、水中体重計式ではこのように負の重量が測れる。一般学生では1.0260BMI32.2(身長と体重は174.998.6)、%Fat31.2であった。

次に、複数回の測定(最大9回)をした冬季競技高校選手の個人内における残気量の変動(最大値―最小値)についてみると、男子では、6.1660.8ml、女子では66.6から379.1mlであった。しかし、男子の660.8mlは+でありこの時のLBMも+2.65kgであり、女子の379.1mlは逆に−でありLBMも−0.9kgであった。このことから、残気量の増減とLBM380の増減とはなんらかの関連性があるようにも思える。




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