【番号】     0165  大分類     ガス  タイトル    一酸化炭素  分類番号    Y011  小分類     一酸化炭素 CO 排気ガス  性状・成分   一酸化炭素は天然ガス、LPGには含まれない   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     1.Hbと可逆的に結合し、血液の酸素運搬能を低下          2.心機能障害による心拍出量低下          3.1,2の相乗作用による細胞レベルでの酸素不足のための           各種臓器障害  体内動態    *          吸収     *          分布     *          代謝・排泄  *          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     *  致死量     気中CO濃度(ppm)X暴露時間<300 影響なし                       <600 軽度の作用                       <900 中度ないし高度の影響                       =1,500 致死          一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)10%以上で自覚症状出現、          60〜70%で死亡 80%以上では呼吸停止による急速な死亡  死因      *  その他     *   【症状の概要】  1.中枢神経(意識レベル低下)、心筋(各種不整脈、心筋収縮力           低下)、肝(GOT・GPT上昇)、腎障害、骨格筋崩壊(cpk異常高値)           、肺酸素化能低下が特徴的所見          2.急性期の中毒症状は血中COHb濃度に依存           COHb濃度10%以下 臨床症状なし               10〜20% 前頭部頭重感、頭痛、皮膚血管の拡張               20〜30% 頭痛(拍動性)、倦怠感、情緒不安定               30〜40% 激しい頭痛、錯乱、嘔吐、脱力感、視力障害               40〜50% 重篤な運動失調、幻覚、脱力、虚脱、                    呼吸促進、頻脈               50〜60% 昏睡、痙攣、Cheyne-Stokes呼吸、ときに死亡               60〜70% 深昏睡、呼吸微弱               70%以上 呼吸停止、循環虚脱、死亡  中枢神経    頭重感、頭痛、昏睡、痙攣  瞳孔      *  呼吸器     軽度の運動による息切れ(10〜20%)、呼吸促進(40〜50%)、          Cheyne-Stokes呼吸、呼吸微弱、呼吸停止(70〜80%)  循環器     微弱脈(50〜60%)、頻脈(50〜60%)、循環虚脱  消化器     嘔気、嘔吐(30〜40%)  電解質・代謝  *  肝       肝腫  腎・泌尿器   両便失禁(60〜70%)、乏尿  体温      *  皮膚      鮮紅色の皮膚粘膜、発汗(50〜60%)  神経・筋    *  血液      *  その他     *   【治療の概要】  1.意識障害を伴わない軽症例では新鮮な空気下で自発呼吸          2.COHb濃度が20%程度以上で意識障害を伴う場合・・           血中気管内挿管し、純酸素による陽圧機械換気(施行時間2時間)、           または高圧酸素療法(2気圧1時間)          3.全身管理:呼吸・循環・体液管理をはじめとした集中治療。           ただし、血中COHb濃度が十分に低下するまでは代謝性           アシドーシスを補正してはならない           (動脈血酸素分圧をさらに低下させるので)          4.障害された臓器機能の回復を図る          5.中毒症状からの回復後、10〜20日を経て再び症状が悪化する例が           10%前後みられるため、5週間の経過観察を必要とする  全身管理    *  催吐      *  胃洗浄     *  吸着剤     *  下剤      *  強制利尿    *  血液浄化法   中毒初期に全血輸血、交換輸血  拮抗剤・解毒剤 *  その他     *   【その他一般】  *  禁忌      *  合併症の処置  *  その他     少なくとも48時間は絶対安静   【参考文献】   急性中毒情報の手引          急性中毒情報ファイル          北里大中毒情報ファイル   【参考症例】   *