【番号】     0161  大分類     工業用品  タイトル    メタノール  分類番号    X071  小分類     メタノール メチルアルコール  性状・成分   *   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     代謝性アシドーシス          中枢神経障害(主として網膜・視神経障害、脳浮腫)          消化器への直接の刺激作用  体内動態    *          吸収     最高血中濃度到達時間:30〜60分          分布     分布容量・・0.6L/kg          代謝・排泄  アルコール脱水素酵素によりホルムアルデヒドから                 蟻酸へと代謝される                 代謝速度は、エタノール(成人のエタノール酸化                 速度7.0g/hr)の約1/9と遅い          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     *  致死量     ヒト経口致死量 100%メタノールとして 30〜100ml          ヒト経口失明惹起量 100%メタノールとして 10ml          (ただし、40%メタノール15mlの服用での死亡例や、           100%メタノール4ml服用での失明発症例の報告あり)  死因      *  その他     *   【症状の概要】  1.服用後18〜24時間は無症状のことが多い          2.メタノール中毒の重症度は、代謝性アシドーシスの程度と相関          3.初発症状:悪心、嘔吐、腹痛、酩酊、めまい。                大量摂取で早期に昏睡にいたる例あり          4.重症では末期に脳浮腫を呈し、徐脈、呼吸停止、心停止にいたる  中枢神経    意識障害  瞳孔      眼のかすみ、対光反射の減弱ないしは消失、乳頭浮腫  呼吸器     浅く速い呼吸、呼吸困難  循環器     *  消化器     悪心、嘔吐、腹痛、下痢、急性膵炎  電解質・代謝  代謝性アシドーシス(進行性かつ再燃性)  肝       *  腎・泌尿器   *  体温      *  皮膚      *  神経・筋    *  血液      *  その他     視力障害   【治療の概要】  代謝性アシドーシスの補正、エタノール投与  全身管理    アシドーシスの補正・・早期から7%炭酸水素ナトリウム          (メイロン)を投与する。乳酸ソーダは用いない  催吐      *  胃洗浄     3時間以内なら胃洗浄(2%炭酸水素ナトリウム液、なければ          微温湯でも可)  吸着剤     *  下剤      *  強制利尿    *  血液浄化法   1.重症例には早期に血液透析(血中からのメタノールおよびその           代謝産物の除去に有効)          2.血液透析の適応条件:              血中メタノール濃度50mg/dl以上              成人でメタノール30ml以上服用              重篤な代謝性アシドーシスのあるとき              メタノールによる眼底所見の異常、視力障害              意識障害がある場合           中止の目安:血中メタノール濃度が30mg/dl以下になり、                 アシドーシスが是正されるまで          3.血液透析は腹膜透析の8倍、強制利尿の10倍の排泄効率をもつ  拮抗剤・解毒剤 エタノール投与(血中エタノール濃度を100mg/dlに維持するため          初回0.6g/kg、以後毎時66〜154mg/kgを投与。ウィスキーに          換算すると体重60kgで初回85ml、維持量は毎時10〜22ml)  その他     1.視力障害やアシドーシスがある場合は、ロイコボリン1mg/kg           (最大50mgまで)を1回静注、以後、葉酸1mg/kg(最大50mg           まで)を4時間毎6回静注。          2.血中濃度が中毒濃度であるが症状のない場合は葉酸のみでよい。   【その他一般】  予後:視力障害が発現する前に治療を開始すれば、予後はよい  禁忌      *  合併症の処置  *  その他     *   【参考文献】   急性中毒処置の手引          救急医学3,1209,1979   【参考症例】   *