【番号】     0149  大分類     殺鼠剤・獣忌避剤  タイトル    黄リン  分類番号    W031  小分類     猫イラズ  性状・成分   殺鼠剤として黄リンを8〜10%含有   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     原形質毒           1.心血管系へ直接作用し循環系の虚脱を起こす           2.脂質代謝、糖中間代謝、窒素代謝、血液系統に障害を起こす           3.肝細胞へ直接的な障害を起こす  体内動態    *          吸収     消化管および皮膚(損傷部位)から、また、                 吸入により吸収                 消化管からの吸収は2時間程度かかる          分布     肺、骨、肝、腎に分布。組織中では未変化体で存在          代謝・排泄  リン酸塩となり、腎から主に尿中排泄。                 わずかな量が呼気および汗より排泄          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     ヒト経口中毒量 15mg  致死量     ヒト経口致死量 1mg/kgまたは50〜100mg・・                  小児(2歳)が3mg服用し死亡した例あり                  成人で1,570mg服用し、生存例あり  死因      *  その他     *   【症状の概要】  T期:重篤な消化器症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、灼熱感)や             神経症状(頭痛、嗜眠、易刺激性、譫妄、全身脱力、痙攣、             昏睡)を呈する時期。             しばしば循環虚脱を伴う。             服用直後〜服用1,2時間後ころから発症し、8〜24時間続く          U期:無症状期(一時的に症状の安定をみる)          V期:肝・腎障害、ショック、出血傾向、重篤な神経系毒性を             発現する時期。数日後にみられる          経皮:接触面の黄色化、壊死、激しい疼痛を伴う2度または3度の             熱傷を生じ、ニンニク臭を放つ。しばしば全身毒性を発現          眼:接触により重篤な化学損傷を起こす  中枢神経    嗜眠、易刺激性、痙攣、昏睡、肺浮腫  瞳孔      *  呼吸器     呼吸困難  循環器     ショック、心筋障害、心不全  消化器     嘔吐、下痢  電解質・代謝  *  肝       肝障害  腎・泌尿器   腎障害、腎不全  体温      *  皮膚      皮膚壊死、熱傷  神経・筋    *  血液      出血傾向  その他     ニンニク臭   【治療の概要】  1.経口の場合・・胃洗浄(炭酸水素ナトリウム液または0.1%                  過マンガン酸カリウム液を用いる)のあと                  吸着剤と塩類下剤の投与           眼・皮膚接触時・・大量の微温湯で少なくとも15分間以上洗浄。                    外科的除去が完了するまではリンの酸化を                    防ぐために暴露部分を湿らせておく           対症療法:呼吸・循環管理、痙攣・不整脈対策、肝・腎障害に                対処          2.服毒者には最低48時間の病院での厳重な経過観察が必要           (無症状期に帰宅させて死亡した例あり)  全身管理    *  催吐      *  胃洗浄     *  吸着剤     *  下剤      *  強制利尿    *  血液浄化法   *  拮抗剤・解毒剤 *  その他     *   【その他一般】  *  禁忌      アルコール、脂肪、オリーブ油、鉱油(ミネラルオイル)の投与は          禁忌(吸収促進)  合併症の処置  *  その他     *   【参考文献】   救急中毒マニュアル(1984)          急性中毒処置の手引   【参考症例】   *