【番号】     0142  大分類     殺虫剤  タイトル    カーバメイト系殺虫剤  分類番号    S091  小分類     一般名(商品名 含有量)          オキサミル(バイデート粒剤 1%)          ブトキンカルボキシム(プラントピン 45mg/枚)          メソミル(ランネート微粒剤F 1,5%、水和剤 45%)          BPMC(バフサ粉剤・粒剤 2〜4%、乳剤 50%、            バフサL-50 50%)          MIPC(ミプシン粉剤・粒剤 2〜4%、乳剤 20%)          MPMC(メオバール粉剤 2%、水和剤 50%)          MTMC(ツマサイド粉剤 2〜3%、乳剤 30%、水和剤 50%)          NAC(セビン粉剤・粒剤 1.5〜3%、乳剤 15%、            水和剤 50%、 ナック粉剤・粒剤 1.5〜8%、            デナポン粉剤・粒剤 2〜5%、乳剤 15%、水和剤 50%、            セビモール 40%、ミクロデナポン水和剤 85%)          PHC(サンサイド粉剤・粒剤 1〜3%、乳剤 25%、            水和剤 50%)          XMC(マクバール粉剤 2〜3%、水和剤 50%)          ピリミカーブ(ビリマー水和剤 48%)  性状・成分   *   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     コリンエステラーゼの活性阻害  体内動態    *          吸収     *          分布     *          代謝・排泄  一般に早い、大量吸収された場合、代謝物が                 尿中に2〜3日間検出されることあり          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     成人の場合、原体、または商品(1〜85%含有)のうち高濃度含有          製剤をひとなめ〜小さじ1杯程度服用で重症になるおそれあり  致死量     オキサシル      ラット経口LD50 5.4mg/kg          ブトキシカルボキシム ラット経口LD50 548mg/kg          メソミル       ラット経口LD50 50mg/kg          BPMC       マウス経口LD50 182mg/kg          MIPC       マウス経口LD50 193mg/kg          MPMC       マウス経口LD50 45mg/kg          MTMC       マウス経口LD50 115mg/kg          NAC        マウス経口LD50 438mg/kg          PHC        マウス経口LD50 45mg/kg          XMC        マウス経口LD50 245mg/kg          ピリミカーブ     マウス経口LD50 79mg/kg  死因      *  その他     *   【症状の概要】  症状の発現と消退は、一般に有機リン中毒よりも短時間          有機リン中毒において認められているような遅発生末梢神経          障害が、NAC剤500mg/kg服毒した1例に認められたとの報告あり           軽症:倦怠感、違和感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、不安感              および軽度の運動失調などの非特異的症状、嘔気、              嘔吐、唾液分泌過多、多量の発汗、下痢、腹痛、軽い縮瞳           中等症:(軽度の諸症状に加えて)縮瞳、筋繊維性攣縮、               歩行困難、言語障害、視力減衰、徐脈           重症:縮瞳、意識混濁、対光反射消失、全身痙攣、肺水腫、              血圧上昇、失禁  中枢神経    意識混濁、不安感および軽度の運動失調などの非特異的症状、          めまい  瞳孔      縮瞳、対光反射消失  呼吸器     肺水腫  循環器     血圧上昇、胸部圧迫感、徐脈  消化器     唾液分泌過多、下痢、腹痛、嘔気、嘔吐  電解質・代謝  *  肝       *  腎・泌尿器   失禁  体温      *  皮膚      多量の発汗  神経・筋    筋繊維性攣縮、歩行困難、言語障害、全身痙攣  血液      *  その他     *   【治療の概要】  *  全身管理    1.経気道的な中毒:新鮮な空気のところへ移動          2.呼吸管理  催吐      誤嚥に十分注意しながら催吐  胃洗浄     誤嚥に十分注意しながら胃洗浄、毒性の強いものの場合十二指腸          チューブ等を用いて小腸洗浄  吸着剤     活性炭(40〜60g→水200ml)または天然ケイ酸アルミニウム          (10%懸濁液200〜500ml)  下剤      硫酸マグネシウム(30g→水200ml)またはマグコロール250ml  強制利尿    フロセミド注  血液浄化法   血液透析(HD)および血液潅流(DHP)を施行  拮抗剤・解毒剤 アトロピンを投与する          1.軽症の場合:アトロピン1.2〜2mgを筋肉内または静脈内に           注射し、10〜30分間隔でそれをくり返す。症状が消え、           アトロピンの効果(皮膚と口内の乾燥)が完全に発現するまで           続ける。患者が回復するまで、アトロピンの効果が軽度に           維持されるよう投与をつづける。中毒症状が極めて軽微な           場合には、症状の再発に応じてアトロピン錠剤0.6ミリグラムを、           経口投与することで効果を持続させることもできる。          2.重症の場合:アトロピン2〜4ミリグラムを静脈注射し、症状が           消えるまで3〜10分間隔で、2ミリグラムずつくりかえし投与する          3.硫酸アトロピンは、投与量を漸減して中止する。           12歳以下の小児の場合には、0.05mg/kgを15〜30分ごとに投与する。           治療中止後、最低24時間は患者を観察し、症状が再びあらわれ           ないことを確認する。          4.硫酸アトロピンの大量投与により、腸管の蠕動運動が抑制される           ことがある。そのために、腸管内にカーバメート剤が停滞し           症状が遷延することがあるので注意が必要          5.PAMの有効性は確立していないが、アトロピン療法の後も           重篤な筋力低下、筋繊維性攣縮、呼吸力の低下といった致死的に           なり得る症状が見られるときは考慮する。           投与量:PAMを1〜1.5g静注し、筋力、換気量、筋繊維性攣縮の               改善があれば毎時0.5gずつ使用、但し、気道確保、               人工呼吸などの呼吸管理が大前提  その他     *   【その他一般】  *  禁忌      フィゾスチグミン、アミノフィリン、モルヒネ、バルビツレート、          フェノチアジミン、サクシニールコリン、レセルピン  合併症の処置  *  その他     *   【参考文献】   急性中毒処置の手引          三共農業手帳          農薬中毒(新興医学出版)   【参考症例】   *