【番号】     0141  大分類     殺虫剤  タイトル    有機リン系殺虫剤  分類番号    S081  小分類     一般名(商品名 含有量)          アセフェート(オルトラン水和剤 50%、オルトラン粒剤 5%)          アミプロホスメチル(トクノールM)          イソキサチオン(カルホス粉剤 2〜3%、カルホス水和剤 40%、            カルホス乳剤 50%、カルホス微粒剤F 3%)          エチオン(トモチオン乳剤 50%、エチオン乳剤 50%)          エチルチオメトン(エカチンTD粒剤・ダイシストン粒剤 5%)          エテホン(エスレル)          エトリムホス(エカメット)          キナルホス(エカラックス乳剤 40%)          クロルピリホス(ダーズバン水和剤 25%、            ダースバン乳剤 10%、40%、ダーズバン微粒剤F 3%)          クロルピリホスメチル(ダウレルダン、レルダン、粒剤→2%             乳剤→25% 40%、粒剤→5%、微粒剤 3%)          サリチオン(水和剤 25%、乳剤 25%、微粒剤F 3%)          ジアリホール(トーラック乳剤 40%)          ジメチルビンホス(ランガード粉剤 2%、水和剤 50%、            乳剤 25%、粒剤 3%、微粒剤F 2%)          ジメトエート(粉剤 5〜7%、S水和剤 30%、水和剤 46%、            乳剤 43%、S粒剤 3%、カミキリン 20%)          ダイアジノン(粉剤 2〜3%、粒剤 3〜5%、乳剤 30〜40%、            水和剤 34〜45%、油剤 24%、ダイアジノンくん煙顆粒 7%            、ダイアジノンくん煙剤 10%、ダイアジノンくん煙紙             0.4g/枚、ダイアジノンロッド 10%、バルサンくん煙紙             0.4g/枚、エキソジノン乳剤 30%、テマノン 24%)          チオメトン(エカチン粉剤 1.5%、エカチン 25%)          バミドチオン(キルバール液剤 37%)          ピリダフェンチオン(オフナック粉剤 2%、水和剤 50%、            乳剤 40%)          ピリミホスメチル(アクテリック乳剤 45%)          ブタミホス(タフラー)          プロチオホス(トクチオン粉剤 2〜3%、乳剤 45%)          プロパホス(カヤフォス粉剤 2%、粒剤 3〜5%、 乳剤 50%)          ホサロン(ルビトックス粉剤 4%、水和剤 30%、乳剤 35%)          ホルモチオン(アンチオ 22%、アンチオ36 36%、            アンチオ粒剤 5%)          マラソン(マラソン粉剤 1.5〜3%、マラソン乳剤 50%、            油剤20 20%、マラソンL60 60%、パインサイドM油剤 20%)          メカルバム(ペスタン粉剤 1.4〜3.5%、ペスタン 25%、            ペスタン乳剤50 50%)          メスルフェンホス(ネマノーン)          モノクロトホス(アルフェート粒剤 5%)          BRP(ジブロム乳剤 50%、ダイブロン 50%、            モンコール乳剤 46%、ジブロム・ロッド 10%)          CVMP(ガードサイド粉剤 1.5%、水和剤 50%、            微粒剤F 1.5%)          CVP(ビニフェート粉剤 1.5%、乳剤 24%、 乳剤50 50%)          CYAP(サイアノックス粉剤 3%、水和剤 40%、乳剤 50%)          CYP(シュアサイド粉剤1.5〜3%、乳剤25%、            シュアサイドベイト1%)          DDVPジクロボス(DDVP乳剤 50〜75%、ネオカリン50 50%、            デス 50〜75%、ホスビット乳剤 50〜75%、ラピック乳剤             50〜75%、デッパー乳剤 50〜75%、エアゾルVP 20%、            バナプレート 16%、殺虫プレート 16%、            園芸用バポナ殺虫剤 17%、VPプレート 40%、            サンスモーク 18%、ブイピーグレン 15%、ジェットVP            30%、VPスモーク 30%)          DEP(ディプテレックス粉剤 4%、乳剤 50%、水溶剤 80%、            ディプテレックスL-40 40%、ネキリトン 1%)          DMTP(スプラサイド水和剤 36%、乳剤 40%、            スプラサイドFD 15%、スプラサイドM 30%)          ECP(VC粉剤 3%、乳剤 75%)          EPBP(エスセブン粉剤 3%)          EPN(粉剤 1.5%、水和剤 25%、乳剤 45%)          ESP(エストックス乳剤 45%)          IBP(キタジンP粒剤 2〜3%、粒剤 17%、乳剤 48%)          MEP・フェニトロチオン(スミチオン粉剤 2〜3%、            水和剤 40%、乳剤 50〜70%、スミチオン微粒剤F 3%、            スミチオンL60 60%、スミチオン錠剤 10%、            ガットサイドS 1%、サッチューコートS 15%、            ガットキラー乳剤 15%、トラサイドS乳剤15 15%、            サッチューコートSセット 15%、パインサイドS油剤D            0.7%、パークサイドE 0.7%、パインサイドS油剤C             40%、パークサイドオイル 40%)          MPP(バイジッド粉剤・微粒剤 2〜5%、水和剤 40%、            乳剤 50%、ファインケムB乳剤 50%、            T-7.5バイセフト乳剤 50%)          PAP(エルサン粉剤・微粒剤 2〜7%、水和剤 40%、            乳剤 50%、パプチオン粉剤 3〜7%、水和剤 40%、            乳剤 50%)          PMP(PMP粉剤・微粒剤 3〜7%、水和剤 50%、            アッパ粉剤・微粒剤 3〜7%、水和剤 50%)          EDDP(ヒノザン粉剤 1.5〜2.5%、水和剤 30%、            乳剤 30%)・・・・・殺菌剤  性状・成分   *   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     コリンエステラーゼの活性を阻害(長時間不活性化されていると          活性化されなくなる。          完全に不活性になれば、肝での産生は少ないので赤血球が          新生されるまでコリンエステラーゼ値は上昇せず長期にわたり          中毒症状が持続する)  体内動態    *          吸収     経口、経皮および吸入により吸収          分布     *          代謝・排泄  有機リン剤の排泄は一般に早いといわれているが、                 大量服毒した場合の排泄については不明          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     毒物・劇物指定のものの原体や高濃度含有製品では、成人でも          ひとなめ程度で重症になるおそれあり。          普通物では、原体にして小さじ1/3杯〜1口分で重症になる          おそれあり          老人、乳幼児は遅延型の中毒になり易い  致死量     アセフェート     マウス経口LD50 361mg/kg          イソチオエートル   マウス経口LD50 50mg/kg          イソキサチオン    マウス経口LD50 75mg/kg          エチオン       マウス経口LD50 60mg/kg          エチルチオメトン   マウス経口LD50 14mg/kg          カルビンホス     マウス経口LD50 250mg/kg          クロルピリホス    マウス経口LD50 70mg/kg          クロルピリオスメチル マウス経口LD50 2,254mg/kg          サリチオン      マウス経口LD50 94mg/kg          ジアリホール     マウス経口LD50 65mg/kg          ジメチルビンホス   マウス経口LD50 200mg/kg          ジメトエート     マウス経口LD50 158mg/kg           ダイアジノン     ラット経口LD50 250mg/kg           チオメトン      マウス経口LD50 66mg/kg          バミドチオン     マウス経口LD50 49mg/kg            ピリダフェンチオン  マウス経口LD50 459mg/kg           ピリミホスメチル   マウス経口LD50 875mg/kg           プロチオホス     マウス経口LD50 940mg/kg             プロパホス      マウス経口LD50 90mg/kg             ホサロン       マウス経口LD50 118mg/kg             ホルモチオン     マウス経口LD50 424mg/kg             マラソン       マウス経口LD50 1,590mg/kg           メカルバム      マウス経口LD50 92mg/kg            メスルフェンホス   マウス経口LD50 290mg/kg           モノクロトホス    マウス経口LD50 54mg/kg            BRP        マウス経口LD50 121mg/kg               CVMP       マウス経口LD50 4,200mg/kg           CVP        マウス経口LD50 140mg/kg          CYAP       マウス経口LD50 830mg/kg          CYP        マウス経口LD50 36mg/kg            DDVP       マウス経口LD50 124mg/kg              DEP        マウス経口LD50 610mg/kg            DMTP       マウス経口LD50 68mg/kg             ECP        マウス経口LD50 272mg/kg          EPBP       マウス経口LD50 330mg/kg              EPN        マウス経口LD50 24mg/kg          ESP        マウス経口LD50 59mg/kg          MEP(フェニトロチオン)   マウス経口LD50 1,030mg/kg          MPP        マウス経口LD50 150mg/kg          PAP        マウス経口LD50 350mg/kg          PMP        マウス経口LD50 45mg/kg          EDDP       マウス経口LD50 218mg/kg  死因      呼吸不全(肺水腫、呼吸筋麻痺、呼吸中枢麻痺)  その他     *   【症状の概要】  コリンエステラーゼ阻害           軽症:倦怠感、違和感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、不安感              および軽度の運動失調などの非特異的症状、嘔気、嘔吐、              唾液分泌過多、多量の発汗、下痢、腹痛、軽い縮瞳           中等症:(軽度の諸症状に加えて)縮瞳、筋繊維性れん縮、               歩行困難、言語障害、視力減衰、徐脈、興奮、錯乱、               房室ブロック           重症:縮瞳、意識混濁、対光反射消失、全身けいれん、肺水腫、              血圧上昇、失禁、ショック、呼吸困難  中枢神経    意識混濁、頭痛、めまい、意識障害、痙攣  瞳孔      縮瞳、視力障害  呼吸器     肺水腫、呼吸困難、気道分泌物増加  循環器     血圧上昇、徐脈(頻脈)、房室ブロック  消化器     唾液分泌過多、下痢、腹痛、嘔吐  電解質・代謝  代謝性アシドーシス、低血糖  肝       *  腎・泌尿器   失禁  体温      低体温、高体温  皮膚      多量の発汗  神経・筋    筋繊維性攣縮、歩行困難、言語障害、運動失調、筋弛緩、脱力  血液      *  その他     流涙、血清コリンエステラーゼ活性値低下   【治療の概要】  *  全身管理    1.経気道的な中毒:新鮮な空気のところへ移動          2.気道確保、呼吸管理、安静、保温、誤嚥予防、輸液  催吐      1.催吐する          2.次の場合には催吐は禁忌            意識障害、痙攣、石油系溶剤含有品  胃洗浄     1.原則として行う(4時間以上経過していても行う場合あり)          2.洗浄後、活性炭50gを500mlの水に混濁し投与または1時間           1L内外の速度で胃チューブから注入する          3.粒剤を服用した場合、ときに胃壁に付着した粒が通常の洗浄では           容易に取れず、中毒症状が遅延することあり。           強毒性のものの中毒時には、十二指腸チューブを用いて           小腸洗浄を行う  吸着剤     *  下剤      1.硫酸マグネシウム15〜30g(小児では0.25g/kg)を4時間毎投与          2.油性下剤は禁忌  強制利尿    1.1時間尿量500mlを目標に行う→無効との見解もある          2.腎障害、心不全のある時は禁忌  血液浄化法   1.血液吸着法(DHP)を施行          2.血液透析は腎障害のある場合は必須  拮抗剤・解毒剤 1.硫酸アトロピン            中等症:1〜4筒(1筒0.5mg)静注し、15〜30分ごとに                追加するか、もしくは5〜10筒の皮下注。瞳孔の状態、                口腔内乾燥の程度、肺野にラ音が聞かれないか                どうかにより追加あるいは中止の判定をする            重症:5〜10筒静注。症状が軽くならず瞳孔拡大傾向が               なければ、瞳孔拡大傾向、対光反射が出現するまで、               30分ごとに5筒ずつ追加静注。その後は30分毎に1〜2筒               皮下注し、軽い散瞳状態を維持する。意識回復、               瞳孔散大すれば中止            12歳以下の小児の場合:0.05mg(1/10筒)/kg(体重)の            割合で15〜30分ごとに投与。            瞳孔、頻脈の状態、口腔内乾燥の状態で調節            いずれの場合も投与量を漸減して中止する。治療中止後            最低24時間は患者を観察し、症状が再びあらわれないことを            確認する。          2.PAM(パム)            1.パラチオン、EPN、ピリダフェンチオン等の中毒には             有効であるが、その他の有機りん剤について有効性が             実証されているわけではない。            2.硫酸アトロピンでは拮抗できない筋繊維性攣縮、筋麻痺に             効果がある。            3.MEPなどには硫酸アトロピンの併用が推奨できる。             ただし、PAMを使用して効果のない場合には、             硫酸アトロピンにかえること            4.中等症および重症:1g(2.5% 20ccアンプル2筒)を                      ゆっくり静注。症状が軽くならなければ                      30分後に2筒追加            5.12歳以下の小児には20〜50mg/kg体重(1〜2cc/kg体重)を             ゆっくり静注             (註)・診断の確認:血液(ヘパリンをくわえた全血、                 血球、血漿、血清)1〜2cc採取。                 コリンエステラーゼ活性値の測定                ・アドレナリン作動性アミン、アミノフィリン、                 サクシニルコリン、フェノチアジン、レセルピンは                 使用禁忌                ・回復後の指導:血液コリンエステラーゼ活性値が                 正常に戻るまで数週〜数カ月間は有機りん剤、                 カバーメート剤等の農薬の取り扱いをさけること  その他     *   【その他一般】  *  禁忌      呼吸促進剤、モルヒネ、アシノフィリン等の投与は禁忌          酸素欠乏状態でのアトロピン投与は禁忌  合併症の処置  *  その他     *   【参考文献】   急性中毒処置の手引          三共農業手帳          農薬中毒(新興医学出版)   【参考症例】   *