【番号】     0008  大分類     その他の家庭用品  タイトル    灯油  分類番号    Q151  小分類     石油 ケロシン ケロセン  性状・成分   沸点 175〜325度 芳香族炭化水素も15〜20%含有   【作用の概要】  *  薬理作用    中枢神経抑制作用          呼吸器粘膜への直接刺激作用  毒作用     毒性の強さ:肺への吸引 > 吸入 > 経口 > 皮膚よりの吸収          中枢神経抑制作用、粘膜刺激作用、心筋の内因性カテコールアミン          に対する感受性を高める。          重症例では2〜24時間で死亡  体内動態          吸収     揮発性が低いので、常温では蒸気で吸入することは                 ない。                 消化管からの吸収は少ない。                 経皮吸収により腎障害を起こす危険があるとの報告                 あり。          分布     *          代謝・排泄  *          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     0.5ml/kg以上飲んだ場合は危険 処置を行う  致死量     ヒト経口推定致死量:90〜120ml(気道内に誤嚥すれば数ml以下                    で死亡)          ウサギ経口LD50 :28g/kg          ヒト経口LDL0  :500mg/kg  死因      化学性肺炎  その他     *   【症状の概要】  気道内誤嚥により重篤な症状出現          (過呼吸 チアノーゼ 頻脈 発熱 肺水腫 肺出血)  中枢神経    経口:傾眠 昏睡          吸入:酩酊様の一過性の多幸感 頭痛 傾眠 昏睡  瞳孔      *  呼吸器     化学性肺炎(気道内誤嚥後数時間で起こる)          経口:気道内誤嚥により過呼吸、チアノーゼ、肺水腫、肺出血、             咳嗽、胸内苦悶          吸入:呼吸停止  循環器     経口:気道内誤嚥により頻脈  消化器     経口:口腔・咽頭・食道の灼熱感、悪心、嘔吐、             消化管粘膜びらん、下痢          吸入:嘔吐  電解質・代謝  *  肝       *  腎・泌尿器   腎障害がなくても尿中アルブミン・糖・アセトン陽性になること          がある  体温      気道内誤嚥により発熱  皮膚      皮膚接触:接触性皮膚炎  神経・筋    *  血液      ヘモグロビン血症 白血球増多  その他     眼に入った場合:結膜炎   【治療の概要】  家庭で可能な処置:吐かせてはいけない(気道内に誤嚥する危険性                   大となるため)          医療機関での処置:流動パラフィン30〜100ml投与                   (粘度の低い灯油の誤嚥を防ぎ、排泄を高める                   ので有用)  全身管理    吸入時および誤嚥時:呼吸管理          化学性肺炎対策:対症療法  催吐      *  胃洗浄     原則として胃洗浄は禁忌          大量摂取時に胃洗浄を行うときは気管内挿管を行って施行  吸着剤     活性炭等  下剤      硫酸マグネシウム(30g→水200ml)またはマクロゴール 250ml  強制利尿    *  血液浄化法   *  拮抗剤・解毒剤 なし  その他     眼に入った場合:流水で15分以上十分水洗する                  FAD点眼液、FAD軟膏、抗生物質点眼液   【その他一般】  *  禁忌      エピネフリンの使用は不整脈や心室細動を誘発する危険がある          ので禁忌  合併症の処置  肺炎や肺水腫の予防、軽減には高張ブドウ糖液の静注、抗生物質、          ステロイド剤、酸素吸入、輸液  その他     *   【参考文献】   急性中毒処置の手引 急性中毒情報ファイル   【参考症例】   *