【番号】     0007  大分類     車用品  タイトル    ウィンド・ウオッシャー液(メタノール)  分類番号    K021  小分類     メタノール メチルアルコール  性状・成分   メタノール(2〜98%、通常10〜40%)界面活性剤           グリコール含有製品もある。   【作用の概要】  *  薬理作用    *  毒作用     代謝物の蟻酸、乳酸の蓄積に起因する代謝性アシドーシス(進行          性かつ再然性で中毒の重症度は代謝性アシドーシスの程度と相関)          消化器粘膜刺激作用 中枢神経障害(網膜・視神経障害 脳浮腫)  体内動態          吸収     経皮、経気道、経口により急速に吸収される。                 tmax:30〜60分(ただし、服用後約18〜24時間は                 無症状)          分布     肝、腎、消化管に高濃度に分布(Vd:0.6L/kg)          代謝・排泄  アルコール脱水素酵素により代謝され、                 ホルムアルデヒドさらに蟻酸になる。                 代謝速度は遅く、エタノールの1/9。                 服用量の3〜5%が未変化体として尿中に排泄          半減期    *          蛋白結合   *  中毒量     メタノール:ヒト経口失明惹起量10ml(ただし100%メタノール                4ml服用での失明症例あり)  致死量     メタノール:ヒト経口致死量 30〜100ml(ただし40%メタノール                15ml服用での死亡例あり)  死因      呼吸停止 心停止  その他     *   【症状の概要】  服用後18〜24時間は無症状のことが多い。          初期症状:悪心、嘔吐、腹痛、めまい。          重症例では早期に昏睡にいたる場合あり。末期に脳浮腫を呈し、          徐脈、呼吸停止、心停止にいたる。  中枢神経    昏睡 視力障害 意識消失 脳浮腫  瞳孔      *  呼吸器     浅く速い呼吸 呼吸困難  循環器     徐脈 心停止  消化器     悪心 嘔吐 腹痛 下痢 急性膵炎  電解質・代謝  代謝性アシドーシス(メタノールの代謝は長時間にわたるため、          一度アシドーシスが補正されても再燃する危険性あり)  肝       *  腎・泌尿器   *  体温      *  皮膚      *  神経・筋    *  血液      *  その他     合併症:激しい心窩部痛を呈する場合には急性膵炎の併発を考慮   【治療の概要】  1.3時間以内なら胃洗浄          2.アルカリ療法(代謝性アシドーシスの補正・・全身管理の項)          3.エタノール投与(拮抗剤の項)          4.重症例は早期に血液透析  全身管理    アシドーシスの補正:早期から7%炭酸水素ナトリウム液                    (メイロン)を用いて正常化を図る。                    ときに、最初の数時間に500〜1,000mlの                    炭酸水素ナトリウムが必要なこともある。                    乳酸ナトリウムは使用しない。  催吐      *  胃洗浄     3時間以内なら2%炭酸水素ナトリウム液または微温湯で行う  吸着剤     *  下剤      *  強制利尿    *  血液浄化法   血液透析:重症例には早期に行う。          適応条件:血中メタノール濃度50mg/dl以上、成人でメタノール               30ml以上飲用したとき、重篤な代謝性アシドーシスの               あるとき、メタノールによるとみなされる眼底所見の               異常、視力障害、意識障害のある場合。          中止の目安:血中メタノール濃度が30mg/dl以下になり                アシドーシスが是正されるまで  拮抗剤・解毒剤 エタノール:血中エタノール濃度を100mg/dlに維持する。                初回0.6g/kg、以後毎時66〜154mg/kg。                ウィスキーに換算すると体重60kgで初回85ml、                維持量は毎時10〜22ml。  その他     視力障害やアシドーシスなど症状がある場合は、ロイコボリン          1mg/kg(最大50mgまで)の静注1回、その後葉酸1mg/kg          (最大50mgまで)の静注4時間毎6回。          症状がなく、血中濃度が中毒濃度であると考えられる場合は          葉酸のみの投与でも可。          視力障害が発現する前に治療を開始すると予後良好   【その他一般】  *  禁忌      乳酸ナトリウムは禁忌  合併症の処置  *  その他     予後:対光反射障害の程度は視力の予後を左右する。             視力障害が発現する前に治療を開始すれば予後はよい。             アシドーシスが持続したり、痙攣、昏睡を呈する場合は、             予後不良であることが多いが治療により回復する可能性が             ないわけではない。   【参考文献】   急性中毒処置の手引   【参考症例】   *