【番号】  0183     大分類  食品  タイトル  毒キノコ(環状ペプチド−アマニチン)  分類番号    I111  小分類  タマゴテングダケ シロタマゴテングタケ ドクツルタケ          コレラタケ カラカサタケ属の数種     性状・成分   アマニチン ファロイジン 【作用の概要】  *          細胞毒(肝細胞の破壊) 薬理作用    DNAポリメラ−ゼ活性 RNA,蛋白質の生合成阻害  毒作用     *  体内動態  吸収 *  分布 *  代謝・排泄  48時間以内に大部分が尿中排泄 半減期 *   蛋白結合 *  中毒量     * 致死量   アマニチン:マウス LD50 0.3mg/kg 成人致死量 0.1mg/kg          ヒト:タマゴテングタケ約1本で致死的 新鮮なきのこ 40g中 アマニチン 5〜15mg含有 死因 * その他 加熱により分解されない 【症状の概要】   6〜24時間:コレラ様消化器症状(突然激しい嘔吐,腹痛,水様下痢)     12〜24時間:偽回復期(第2潜伏期)          24〜72時間:肝及び腎機能障害 → 肝性昏睡          2〜7日後:死亡                死亡率50% 中枢神経 頭痛 精神症状(錯乱) 抑うつ状態 痙攣 傾眠 中枢神経障害 瞳孔 * 呼吸器     肺水腫  循環器   血圧低下 チアノ−ゼ 心筋障害 循環不全  消化器     嘔吐 下痢 腹痛 粘液便 血便 コレラ様症状 嚥下困難   電解質・代謝  低K血症 低血糖 脱水症 低Ca血症 甲状腺調節系異常  肝       遅延性肝障害 黄疸 肝性脳症 肝障害  腎・泌尿器   腎障害 尿閉 血尿 中毒性腎炎 内臓の浮腫 腎不全  体温      *  皮膚      *  神経・筋    運動麻痺 筋肉の強直  血液  溶血 出血 止血凝固障害(プロトロンビン時間延長)  その他     定性反応(Meixner test) 【治療の概要】  一般に胃腸刺激症状が遅れて発現した場合はアマニタトキシン  群かヒドラジン群による中毒と考えられ重症として処置したほ うがよい  全身管理    呼吸管理(酸素吸入・人工呼吸),循環管理 催吐  6時間以内なら催吐する  胃洗浄     ○  吸着剤  活性炭 下剤  硫酸マグネシウム(30g→水200ml), マグコロール           ☆活性炭+下剤を4時間毎2日間(腸肝循環による再吸収を防ぐため) 強制利尿    3〜6ml/kg/hr程度の尿量確保  血液浄化法  血液透析 血液吸着 急性肝不全では血漿交換  拮抗剤・解毒剤 グルタチオン(タチオン )投与          グルタチオン400〜600mg→5%ブドウ糖液 点滴静注(6時間ごと) シリビニン(拮抗剤)・・・国内では市販されていない              48時間以内に20〜50mg/kg/日静注                       48〜96時間持続 ペニシリンG 30万〜 100万単位/kg/日を点滴静注 アマニチンの肝臓への取り込みを減少または抑制  その他     輸液:脱水・電解質異常・低血糖の改善       対症療法:抗生物質,V.K(出血),硫酸アトロピン 【その他一般】  *  禁忌      *  合併症の処置  *  その他     * 【参考文献】   急性中毒情報ファイル          大橋教良ら:月刊薬事 vol.33,No.9:101〜102,1991 戸崎洋子:救急医学 12,1551-1559,1988 【参考症例】    40歳,女性 平成元年9月11日,シメジと思い採集したきのこ(タマゴタケモドキ) 25本を味噌汁にし,19時食した。      約2時間後から嘔吐,下痢,腹痛等があり翌日病院受診。 きのこを食べたことを話さなかったため,補液と抗生剤の投与のみを 受けた。その後消化器症状は軽減          9月16日朝,意識低下あり,北見赤十字病院入院。          入院時,昏睡,頻脈,胸部湿性ラ音,黄疸,下肢浮腫,乏尿,皮下粘          膜に出血が認められた。GOT 4,595IU, GPT 4,1291IU, 総ビリルビン 12.9mg/ , BUN 35.6mg/ , クレアチニン 4.2mg/ であった。          きのこ中毒による劇症肝炎,肝性脳症,播種性血管内凝固症候群と診          断。血液透析(3h×2回),血漿交換(2回),強制利尿を施行。          アミノレバン ,ラクツロース ,カナマイシン ,FOY などを投与          第9病日に急性肝不全,急性腎不全のため死亡。          血漿交換時の血漿及び尿中にα-アマニチンが検出された。         (北見赤十字病院内科 酒井 勲先生症例)  66歳,男性          平成元年9月18日夜,きのこ(タマゴテングダケ?)を食した。    9月29日朝から嘔吐,水溶性下痢。          9月30日に入院。来院時,消化器症状のほかに軽度の肝障害と溶血。          血液透析(3h×3回),血漿交換(1回)を施行。          第4病日に GOT 1,844IU, GPT 2,998IU, 総ビリルビン 5.8mg/ まで          上昇したが,徐々に回復。          第26病日に GOT 48IU, GPT 50IU, 総ビリルビン 1.3mg/ まで低下し,          退院。          (五戸総合病院内科 村本和則先生症例)