【番号】  0191  大分類    食品 タイトル  フグ毒  分類番号    I081  小分類  クサフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) コモンフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) ヒガンフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) ショウサイフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) マフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) メフグ(卵巣,肝,皮膚,腸) バシレウスキャヌス(卵巣,肝,腸) アカメフグ(卵巣,肝,皮膚) ブセウトムス(卵巣) トラフグ(卵巣,肝) シマフグ(卵巣,肝) ゴマフグ(卵巣,肝) カナフグ(肝) キタマクラ(皮膚)  性状・成分   テトロドトキシン 【作用の概要】 *  薬理作用    興奮性細胞膜の伴うNaイオンの細胞内流入を選択的に抑制遮断し、          活動電位発生抑制(運動神経筋接合部など)          コリン作動性線維末端からのACh遊離抑制  毒作用     毒力はフグの種類、季節(産卵期−早春に最大)によって異なる。          卵巣>肝臓>皮膚>腸の順に毒力は弱くなる。          充分に水洗いされた肉には毒性はない。  体内動態    *  吸収 *  分布 *  代謝・排泄  テトロドトキシンの解毒排泄は通常8〜9時間とされているが、その解毒過程の詳細は不明である。          半減期   *  蛋白結合   *  中毒量     *  致死量     テトロドトキシン:ヒト 約2mg(マフグ肝臓20g)                   マウス腹腔内 15μg/kg  死因      呼吸停止(呼吸筋麻痺)  その他     発症時間:20〜30分、おそくとも2〜3時間 致死時間:4〜6時間 解毒時間:8〜9時間 発症後8時間経過していれば中毒死の危険性は低い 【症状の概要】  フグ中毒の重症度分類(福田) T度:口唇,舌,指先などの知覚症状 U度:知覚症状が四肢におよび軽度の運動麻痺がある V度:全身の運動障害,反射の消失,発声不能,血圧下降 胸内苦悶,呼吸困難(チアノ−ゼ)   W度:第V度の諸症状と意識障害          初期症状の発現時間と重症度に必ずしも密接な関係はない。          発現時間の短いものほど重症と考えて治療すべきである。  中枢神経    意識障害 頭痛 言語障害 昏睡 発声不能 瞳孔      瞳孔散大 対光反射消失  呼吸器     呼吸困難 チアノ−ゼ 呼吸筋麻痺 呼吸停止   循環器     血圧低下 胸内苦悶  消化器  嘔吐 口唇・舌のしびれ 腹痛 味覚鈍麻 嚥下困難  電解質・代謝  *  肝       *  腎・泌尿器   *  体温      *  皮膚      *  神経・筋    運動麻痺 知覚異常 反射消失 しびれ 千鳥足   血液      *  その他     * 【治療の概要】  治療は呼吸麻痺と血圧降下に対する対症療法を行う。 初診時軽症であっても症状の進行に十分注意し、食後10時間は経          過観察する。  全身管理    輸液:テトロドトキシンはアルカリに対して容易に分解されるので lactate ringer液が適している shockでなければ、ソリタT3,フィジオゾ−ルなどを4,000ml             /dayくらい投与し、1ml/kg/h以上の尿量を維持させる 催吐 食後すぐなら有効 誤嚥に注意  胃洗浄     食後すぐなら有効(2%炭酸水素Na液) 誤嚥に注意  吸着剤  活性炭(40〜60g/水200ml) 下剤  硫酸マグネシウム(30g/水200ml) 強制利尿    *    血液浄化法  *  拮抗剤・解毒剤 システイン0.6gが有効との報告もあるが、確立されていない (佐賀大学 農芸化学生物学 藤井実教授) その他  人工呼吸を積極的に行う。(経鼻的,経口的気管内挿管)          8〜9時間で分解排出されるので気管切開の必要はない。 【その他一般】  *  禁忌      *  合併症の処置  *  その他     * 【参考文献】   資料:救急医学,3,10,1358(1979) DI実例集(4)P.229 福田ら:フグ及びフグ中毒の研究 日本医事新報 1494:35(1952); 1495(1952) 田中ら:ふぐ中毒症 外科治療 20:463〜469(1964) 田原ら:フグ中毒 綜合臨床 vol.25 増刊号(1976) 恩地ら:目でみる救急処置 武田薬報 4月号 昭和50年 【参考症例】   * 中枢神経障害を伴ったフグ中毒の1例,内山伸治ら,救急医学,15, 597-599,1991 一過性に全盲状態をきたしたフグ中毒の1例,城山和久ら,中毒研究, 5,161-164,1992