「21世紀に向けた大学病院の在り方について」
(21世紀医学・医療懇談会第3次報告)

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1.21世紀医学・医療懇談会第3次報告のポイントは何ですか?

2.「教育病院」として研修・実習の充実を図ることの意味は何ですか?

3.臨床研究面での提言の主な内容は何ですか?

4.医療面での改善の状況はどうなっていますか?

5.運営面での今後の課題は何ですか?


1.21世紀医学・医療懇談会第3次報告のポイントは何ですか?

第3次報告は、21世紀における大学病院の在り方を検討した結果をとりまとめたものです。報告においては、主として以下の4点について提言されています。

@ 大学病院は、「教育病院」として、広く医療人育成のための研修・実習を新たな柱として充実を図るよう提言

A 研究面でも我が国の医療をリ−ドする臨床医学の研究を一層進めるべきことを提言

B 医療提供の面では、大学病院が患者本位の医療のために様々な改善努力をしていることを 国民の皆さんの前に明かにするとともに、それらの努力の一層の推進を提言

C 大学病院にふさわしい運営体制等について、今後の検討課題として指摘


2.「教育病院」として研修・実習の充実を図ることの意味は何ですか?

(1)大学病院は、医学部等の附属病院であるため、従来医師や歯科医師の教育の場と理解されていた。

このため、
@医師、歯科医師の卒後臨床研修は大学病院において行われることが多く、医師について 必修化などの議論があるにもかかわらず大学病院の業務の上での位置付けは明確でな かったこと
A看護婦(士)、保健婦(士)、助産婦、薬剤師、臨床放射線技師、臨床検査技師、理学 療法士、作業療法士、歯科衛生士などのコ・メディカル・スタッフ職種の養成にあって も実習が重視され、大学病院での受入れも増えているが、これも位置付けが不明確で あったこと
B上記により実施体制等について不十分な面があったこと
等の状況があった。

(2)今回の提言は、大学病院の機能を医師等の卒前教育に限ることなく、卒後の臨床研修や コ・メディカル・スタッフの実習等も含めた「研修・実習」機能も重要な柱であることを明かにし、大学病院を広く医療人の育成の場である「教育病院」と性格付けたもの。

(3)このような新たな位置付けに伴い、今後医師等の研修やコ・メディカル・スタッフの実習 について、大学病院における必要な経費、定員、施設・設備について、充実を図っていく。

将来的には、医療制度、医療保険制度上の位置付けについても期待。

また、実習受入れに関し、大学病院をコ・メディカル・スタッフ養成大学等との連携・ 協力体制を整備していく。


3.臨床研究面での提言の主な内容は何ですか?

(1)大学病院では、難病の原因の解明、より迅速で精度の高い診断法、より有効で安全確実な治療法、患者負担を軽減しQOLを改善する診断・治療法など様々な研究が活発に行われている。これら先進的な医療研究にあっては、保険適用となるまでの研究費が大学の負担とな っているため、充実が必要であること。

(2)新たな診断・治療法の開発だけでなく、様々な診断・治療法の有効性についての研究(例えばガンについてどういう診断・治療法が有効なのか比較研究することなど)も今後重視されるべきであること。

(3)大学病院は、遺伝子診断・治療や臓器移植をはじめ先端的な医療を開発しているため、倫理面についても重視する必要があること。

(4)大学病院の研究の一環として、医薬品等の治験を行うことは、薬物療法の進展に寄与するひとつの社会的使命と考えられるので、服務、経費の透明性・明確性や科学的・倫理的な 適正さを確保しながら、今後も社会的理解を得て実施する必要があること(参照:治験に関するパンフレット)。


4.医療面での改善の状況はどうなっていますか?

診療における患者サ−ビスの改善
現状−別紙参照:「変わりゆく大学病院」

@診療体制等の改善
・患者の受診を容易にする臓器・疾患別の診療科や総合診療部の設置
・予約制の実施
・患者相談・案内体制の整備(ボランティアの活用)
A患者への情報提供
・インフォ−ムド・コンセント、服薬指導
B医療情報システムの充実
・業務の合理化・正確化、待ち時間の短縮
C病院施設の改善
・患者アメニティ−の改善に配慮
Dその他
・院内学級の設置など


5.運営面での今後の課題は何ですか?

1.大学病院の運営は、教育、研修・実習、研究、診療と幅広く複雑であり、業務も多いが、この運営の責任者である病院長は、教授の兼任で2年程度の任期であることが多いので、そのリ−ダ−シップを強化するため、任期を長期化したり専任化したりすることを検討。
また、病院長を補佐するため、業務を分担する副病院長を置いたり、病院業務に精通した専門的職員を養成すること。

2.病院運営体制の中で、これまで医療技術職員の業務の在り方、病院運営への関わり、医師との関係などについては、従来まとまった検討がなされていなかったが、医療技術の高度化、チ−ム医療における臨床的業務の増加や実習・研修生に対する教育業務の拡大等の中で、その業務や組織などについて検討。


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