Notes:
コンピュータが誤動作する恐れがあるという西暦2000年問題については、最近マスコミ等もこぞって取り上げるようになり、社会の関心の高まりを如実に示している。しかし、実際には「恐れがある」、あるいは「起こってみなければわからない」ということから、現状は社会のあらゆる面で対応が遅れている。
病院の情報システムについても同様である。対応が遅れると人命に関わると認識されながら、人工心肺やペースメーカーなどのME機器のように、患者との直接的な関わりが希薄であるため、病院情報システムの担当者であっても、比較的楽観的な受け止め方をしている場合が多いように見受けられる。
我々は、鹿児島大学総合病院情報システム(THINK)の2000年問題対応作業に準備段階まで含めて2年6ヶ月を要した1)2)。これらの経験を通して、病院情報システムにとっての2000年問題は、2000年1月以降レセプト作成ができなくなる、そして、次に病院機能の膠着により患者診療に影響が出て、人命に関わる事態が発生する、という具体的な障害の発生機序を知ることができた。これは、極めて深刻な問題である。