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UMIN20周年記念に寄せて

元UMIN事務局
北村 奈央


 大学病院医療情報ネットワークが、この度設立20周年を迎えられましたことに心よりお慶びを申し上げます。
 日進月歩の発展を遂げる医療情報の世界で、UMINは常に時代に即した方向性を打ち出し、これからの医学・医療分野における必要なシステムを次々に運用してまいりました。これらの功績は、歴代UMIN運営委員長・センター長のたゆみない努力の賜物にほかなりません。また、現行システムの向上・安定稼働に努め、そして今後求められる先端の医療情報システムの新たな開発運用がUMINの使命とも思います。
 私は2000年4月にUMINセンターへ入職し、木内先生をはじめとする温かいスタッフの皆様方に支えられて丸6年間勤務いたしました。初めてUMINを訪れた際の印象は、運用サービスの規模に対し、センターの物理的な狭さとスタッフの少なさに驚くとともに、その上で、多くの利用者を抱え充実したサービスが運用されていることに感銘を受けました。
 また、大学時代に医療情報学を専攻しておりました私としては、最新の医療情報に携われる恵まれた環境に感謝するとともに、UMINの一員として誇りを持ち、利用者の皆様に信頼されるサービス提供を目指し、日々努めてまいりました。
 さて、ここからは私が担当した主なサービス毎に、振り返りたいと思います。

【インターネット医学研究データセンター(INDICE)】
 医学研究者主導による医学研究の遂行を支援することを目的とした、インターネットを利用した医学研究データ収集システムであり、2000年より運用を開始しました。
 INDICEは、私がUMINへ勤務した6年間継続して担当させていただいたサービスであり、運用と共に徐々に扱うシステムの規模が大きくなり、機能の強化・開発の省力化が進み、サービスと共に私自身が成長してまいりました。2002年には第22回医療情報学連合大会において学会発表も行い、今でも一番思い入れの強いサービスです。
 特に、本サービスは患者データを扱う重要なシステムであるため、システムの規模に係わらず稼働までの期間、動作確認は入念に行い、一つひとつ慎重に送り出してきました。
 その上で、私が担当した2006年3月末時点では85プロジェクト運用・9万5千例の登録実績でしたが、2008年10月末現在では128プロジェクト運用・登録症例52万例と飛躍的に増加しています。大きく成長を続けるシステムが私には眩しく映りますが、今後も未来の医学研究に役立つシステムへと更に発展していくことを願っております。

 次に、オンライン臨床研修評価システム(EPOC)とオンライン歯科臨床研修評価システム(DEBUT)について、前者は2004年度からの医師臨床研修必修化、後者は2006年度からの歯科医師臨床研修必修化に合わせて運用を開始した、インターネットを利用した研修評価管理システムです。
【オンライン臨床研修評価システム(EPOC)】
 本システムでは、研修医用・指導医用・研修統括部門用・プログラム管理者用・EPOC事務局用の各利用者別メニューを用意し、画面種類や実装機能も多岐にわたるため、当初より大規模システムとなることが予想されました。そのような中で、第1回目の関係者会議は2003年1月に行われ、稼動開始となる2004年4月までの間、毎回長時間にわたる検討会議を重ね、担当の先生方のご尽力をもって、仕様策定や運用方針の決定等進めました。私自身、会議の度に目標へ向けて一歩ずつ前進する手応えと、このシステムの重要性に身が引き締まる思いを感じつつ、完成に向けて取り組みました。
【オンライン歯科臨床研修評価システム(DEBUT)】
 2006年4月運用に向けて、第1回目の関係者会議は2005年5月に行われました。この時点でEPOC稼動から丸1年が経過していましたので、その運用経験を基に標準機能の充実を図りました。同時に、EPOC運用の中で利用者から寄せられた意見を基にユーザインターフェースの向上にも努め、これらを総合して仕様作成に取り組みました。
 しかしながら、医師研修と歯科医師研修とでは制度や評価方法・内容に異なる点も多く、その都度担当の先生方にお尋ねすると、適切なご助言をいただくことができ、作業がスムースに進んだことが思い出されます。
 EPOC・DEBUTに共通する点は、運用当初から多くの利用者・医療機関において使用されることが明確であったため、事務局体制を万全に整えておく必要があり、システムについても徹底した動作確認を行う必要がありました。しかしながら、タイトな開発スケジュールであったため乗り越えるべき課題も多く、限られた準備期間を経て無事に運用を迎えられた時には、皆様が安堵のご様子であったことが印象に残っております。

 このようにINDICE・EPOC・DEBUTの基礎作りに携われたことは、自身の人生においても身に余る光栄であり、大きな自信にも繋がりました。微力ながらも研究者の皆様のお役に立ち、UMINへ貢献できたのであれば嬉しく思います。
 2006年春、UMIN離任にあたりご挨拶させていただいた際には、お世話になった多くの先生方から温かい労をねぎらうお言葉を頂戴し、在職6年間において最も感激した瞬間でした。この場をお借りしまして、先生方へ心より厚く御礼申し上げます。
 また、長年UMINを引っ張ってこられた木内先生は、些細なことでは動じず、センター長として常にどっしりと構えられており、私たちスタッフはその下でのびのびと業務に励むことができました。各サービスの運用は担当者に全面的に任されておりますが、木内先生は全体の進捗を常に把握されており、判断に迷った時には直ぐに的確な方向へと導いてくださいました。
 その他、スタッフ間の親睦を図るため週に1度全員で昼食をとったり、業務が立て込んでいる時には体調を気遣ってくださったりと、木内先生の温かいお人柄に触れる機会も多くありました。私自身、どんなに多忙であっても仕事を楽しむことが出来ておりましたのは、木内先生のお力添えがあったからこそと確信しております。UMINで培った貴重な経験や知識を活かし、今後も医療情報に携わり精進してまいりたいと考えております。
 最後になりましたが、在職中皆様からいただいたご厚情に深謝するとともに、UMINの益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。