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僕にとってのUMIN

浜松医科大学医学部附属病院医療サービス課臨床研修係長
瑞岳 厚志


 UMINと出会ったのは今から10年前、平成10年4月1日、医事課医療情報係に移ったときである。国立大学の医療情報係をまとめたメーリングリストが作られていた。他の係ではそういったものはなかった。医療情報係の仕事のことで他大学の状況が知りたいときにたいへん便利だった。特に医療情報係にいたときに、世界中が大騒ぎをしたコンピューターの2000年問題があった。このときはこのメーリングリストのおかげで、いろいろな情報を瞬時に知ることができた。UMINのメールシステムを使いたい学生の登録業務をやっていたので、UMINが登録制だということを知った。後年、ほとんどの学生を毎年UMINに登録することになるとは、夢にも思っていなかった。
 次にUMINと関係したのは、平成15年、僕が新臨床研修制度の仕事に就いたときである。この仕事の前は学生課で大学院の仕事を担当していた。僕にとっては珍しく馬が合う課長から「このまま大学院の仕事を続けるか、新しい臨床研修の仕事をするかどちらかを選べ。」と言われた。国立大学の職員となって30年以上たつが、仕事を選べと言われたのはこれが初めてである。この課長とは留学生の研修旅行のとき、大酒を飲んで部屋の前についている1人用の小さな露天風呂に2人で入って、どっちがテニスが上手いか大声を出して、部屋の中で寝ている人に大変迷惑をかけた思い出がある。このとき大学院の仕事を選んでおけば、平穏な仕事人生を送れたのだが、なんのはずみか新臨床研修の仕事を選んでしまったのである。とりあえず、学生課の中でたった1人で新臨床研修の仕事をスタートしたのである。『そして僕は途方にくれる。』誰かの名曲である。
 なにをどうしていいのか全く見当もつかずさまよっていた。新臨床研修に関連する学内規則の作成、新臨床研修プログラムの作成、新臨床研修プログラムの広報などが当面の仕事だった。関連する学内規則は長い時間がかかったが何とかできた。臨床研修プログラムの作成は、厚生労働省から提示された法律を読んでも良く分からず大変困った。新臨床研修に関する説明会も何回か開催された。説明会の休憩時間トイレに行ったときのことである。どこかの先生がもう1人の先生に「臨床研修プログラムができたら教えて欲しい。」と言っていたのを記憶している。紆余曲折の末、ようやく臨床研修プログラムができあがった。
 臨床研修プログラムができたので次はそれの広報をしなければならない。その当時、情報収集の主役がペーパーからインターネットに移っていた。しかし、長年の間続いてきたアナログ的発想はポスターの作成を選択した。このときのポスターは、研修内容はもとより浜松の持つ利便性等を網羅した幕の内弁当のようなポスターで今でも結構気に入っている。臨床研修センターのホームページにも記念として小さく貼り付けてある。ただ、ポスターの作成はこれが最初で最後だった。ポスターの作成と平行してホームページの作成も行った。掲載内容、ホームページの構成等を決めて業者に作成を依頼した。この初代のホームページも当時としては結構いけてるホームページだったと思う。「ホームページが良かったから浜松医科大学で研修することにしました。」と言ってくれた研修医がいました。
 この仕事を始めてもう6年が過ぎた。これほど長く1つの仕事をしたのは初めてである。この仕事の特徴は間口が広いということである。研修医の勤務時間管理から厚生労働省への情報提供と研修医に関することは全て処理しなければならない。この仕事は先に書いたように当初は僕1人でやっていた。業務が増えてきたとき、短期で派遣社員に来てもらった。縁があったのかその後もずっと来てもらっているが、この人が凄く仕事ができる人で、この人がいなかったら、とうの昔に僕はこの仕事にギブアップをして違う仕事をしていたと思う。神様からの素敵なプレゼントだと思っている。
 そろそろ臨床研修の評価簿の様式を考えないといけないと思っていた。そこに突然、UMIN に乗ってEPOCが来た。ひょっとして、これも神様のプレゼントだったのかもしれません。国立の大学病院は臨床研修の評価にインターネットを使った臨床研修の評価システム、EPOCを使うことになったのである。新しい臨床研修制度もまだ理解していないのに、さらにEPOCである。とりあえず、EPOCの説明会があったので出席したが理解は5割程度だった。本院の場合は協力病院が多く、紙の評価簿を使うよりはEPOCのほうが良いだろうということになった。この選択は5年が経過した今の時点で考えてみても正しかったと思う。評価の記録は5年間の保管が義務付けられている。本院の臨床研修センターのスペースは、とても小さくふだん使用する書類の置き場にも困っている状態である。ここに、紙の評価簿の入る余地はない。自分の机のパソコンで研修医の評価の入力状況を見ることができるのも凄く便利である。EPOCの良さはここに書いた他にもたくさんあるが、最も良いところはEPOCが成長していくところだと思う。エクセルがどんどん進化していったようにEPOCも進化している。進化のスピードはエクセルほどではないが。
 臨床研修には必須のアイテムと思われるEPOCですが、利用していないところもあって、その理由は研修医、指導医が入力をしてくれないということです。本院にも、この問題は当初からあって今も十分問題となっています。定期的に入力状況をチェックしてメール、電話等で入力の督促をしていますが、研修医も指導医も共に忙しい人達なので、なかなか入力をしてもらえないのが実情です。研修医に対しては奥の手を用意してあり、何とか最後には入力してもらっています。
 臨床研修の仕事を引き受けて大変な思いをしましたが、EPOCをはじめいろいろなものや人に助けられここまで来ることができました。定年までもう1年7ヶ月、この調子でいくと定年まで臨床研修の仕事になりそうですが、この臨床研修制度はいろいろな問題を抱えているので、これまでもそうでしたが最後まで変化の連続という状況を強いられそうです。僕にとってのUMINはEPOCだったのでEPOCについて書かせていただきました。