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UMINシステムを使った
ICD/CRT-D登録システムの使用経験

山口大学大学院医学系研究科保健学系学域教授
清水 昭彦


 先ずは、UMIN20周年おめでとうございます。

 さて、私は循環器領域の特に臨床不整脈を専門領域としています。その活動拠点の一つである日本不整脈学会において、致死性不整脈を自動的に感知して、除細動を行い正常調律に復帰させる植込み型機器のICDに関する種々の問題を解決するために企画・作成されたICD委員会に5年前から属しています。その委員会の委員に任命されてから、UMINとの関わりが強くなり、今では大変感謝している次第です。
 ICD委員会では、日本におけるICD/CRT-Dなどの除細動機器の植込み認定医の資格を獲得するための教育セミナーあるいは認定資格に基準設定などを行っていますが、当然日本でのICD/CRT-D植込み実態の把握も必要と考えていました。従来は、その様な実態調査は紙ベースで郵送にて行われていました。しかし、そのための費用や時間は許容範囲を超えつつありましたので、5年前に委員長から私指名でインターネットを利用しての登録システムの構築を頼まれました。私自身は、最初困ったことになったと感じていましたが、現在の職に就く前に、情報関係の仕事として、山口大学附属病院の医療情報部の講師・助教授として3年間勤務していた経験が役立ちました。その時学んだことは、サーバーを自分たちで管理しなく、いかに身軽にしながらシステムを構築することが一番であるということです。特に、今回の場合はシステム構築のための予算は、あまり期待できないと理解しておりました。そこで、医療情報部の時に初めてその存在を知ったUMINのことを思い出したのです。東大のUMINの施設に手紙を出し、直接出向いてそこで打ち合わせを行いました。今考えれば当たりまえですが、最初その施設のセキュリティの高さに驚いたのを覚えています。打ち合わせでは、こちらが作成しようとした登録システムをほぼ満足させる内容で、比較的簡単に画面作成が可能で、かつ、システムを運営可能である感触を得ることができました。
 UMINを使ってのシステムにしたおかげで、我々はサーバーの保持、管理、システムの安全確保に時間を割くことなく、登録内容に関してのみ時間を割けばよく、大変助かりました。しかしながら、私含めて委員会の誰もこのようなシステム作りを行った経験がなく、例えば、システム立ち上げには研究会のホームページ作りが必要でした。正直、私自身それまでに作成したことがなかったので、本を何冊か買って勉強し、自ら作成しました。ホームページの見栄えは素人作りで、見かけはあまりよくありませんが、機能は何とか合格点と自画自賛しています。その後も、通常の仕事合間に、この仕事を行っていましたので、正直大変でしたが、構想2年目、2006年8月にオンラインによる登録システムを立ち上げることができました。
 立ち上げ当初は、システムの安全性のためにPWを二つ持つことになるということがユーザーに浸透していなくて、手続きはしてPWを入力するのにシステムに入れないとの問い合わせが多くて大変でしたが、2年以上経過した現在では、システムに入れないという問い合わせはほとんどなくなり、また、JCDTRと名称したオンラインシステムが不整脈学会の会員にも十分浸透してきました。その間にも、登録内容に関しての変更や会員登録に関して、UMINの皆様方には大変お世話になったことを、この書面で改めてお礼を述べたいと思います。変更・訂正などがないように何度も確認したつもりですが、実際に運営してみて初めてわかることも多いことを身をもって知ることができました。
 現在までに、実際にシステムに登録していただいている施設は約180前後、登録症例数も4,000名以上となりました。学会活動の一環としても、循環器・不整脈関連の学会でのシンポジュウム・パネルディスカッションなどで、その登録内容の分析を報告する機会も与えていただきました。これによって、現在日本で行われているICD/CRT-Dの植込み実態の情報を会員一同で共有することが可能となりました。
 システムとしてのUMINを情報の専門でない私から感想を言わせていただくと、UMINを使うことによって、他とは比較にならないほど安価な費用で、洗練されたユーザインターフェイスを利用でき、勤務先や自宅から簡単かつ安価にネットワークを利用してICD/ CRT-Dの植込み登録が可能になりました。UMINは、(1)サービスの信頼性(2)情報の保守・管理(3)サービスの継続性、が確約されており、今後も安心して使用できることはすばらしいことと思います。今後もこの集中型のサービス形態が継続されて、信頼性・継続性の高いサービスが提供されることを願っております。