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東京大学大学院医学系研究科・医学部よりのご挨拶

東京大学大学院医学系研究科長・医学部長
清水 孝雄

 大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)設立20周年おめでとうございます。研究、教育、診療、病院運営管理にと、40を超える数の情報サービスが提供されており、月間4千万件ものWebアクセスがある等の事実を知り、そのサービスの種類の多様さ、利用件数の多さに驚きました。この様な多様で高度な情報サービスを単独で提供する組織は、海外にも類例がないとお聞きしております。素晴らしい発想で、このプロジェクトを企画し、また、様々な困難の中で、維持発展されてきた関係各位のご尽力に心から敬意を表するものです。
 東京大学医学部・大学院医学系研究科では、国際的な研究成果を挙げ、また、優秀な医学研究者の育成を大きな目標としています。東京大学大学院医学系研究科・医学部は、実際、多くの競争的外部資金、科学振興調整費、4つのグローバルCOE、50を越える寄付講座の設立などを通して、医学と医療に貢献をしていると自負しております。同時に、全国的な教育や医療の質を高める努力もまた重要なことと考えております。日本の高等教育全体への厚い予算措置を要求することは元より、UMINや医学教育国際協力研究センター等の全国共同利用施設を通じて、全国の医学研究者等に充実したサービスやインフラを提供することは私たちの重要な責務と考えています。大学等の全国共同利用のための施設は、全国の大学内の施設、大学共同利用機関を含めて、数多くあります。UMINの特徴は、その業務の性質上、すべてのサービスをインターネットで利用できるようになっていることです。真の意味で、UMINは全国共同利用施設にふさわしいサービスを提供しているように思います。
私は、昨年、横浜で開催された生化学会・分子生物学会合同大会(BMB2007)の会頭をつとめました。これは参加者1万5千人を超える生命科学分野の最大の学会の一つです。その際に、UMINの演題登録システムを利用させていただきました。その演題登録システムは、効率とセキュリティを合わせ持っており、何のトラブルもなく無事にウエブ上で演題や抄録を検索出来、また、このデータを用いて抄録誌やCDなどを作ることが出来ました。伺いますと、平成20年度には、500学会以上が利用しており、収集した累積演題抄録数の累積120万件以上ということで、その実力を大きく裏付けています。近い将来、演題登録画面等の設定等をすべて外部からできるようになるそうです。これによって、現在、演題登録システムを持たない、小さな学会、研究会、地方会等にも幅広く利用が進んでいくと思われます。今後、一層の発展が期待されます。
 東京大学大学院医学系研究科・医学部として、UMINの存在とその医学・医療関係者への貢献は大きな誇りです。UMINの20年間に及ぶ功績の多大なる敬意を表するとともに、医学・医療のためのインフラストラクチャー(情報基盤)として、今後ともますますの発展を遂げることを願っています。そのために、今後とも関係者各位の一層のご支援・ご協力をお願いする次第です。