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UMIN20周年のご挨拶

国立大学附属病院長会議UMIN協議会長
筑波大学附属病院医療情報部長 
五十嵐 徹也

 UMINもようやく20周年を迎えることができました。この年にあたり偶然ではありますが協議会長の役職を担っておりますことは大変に幸運であったと申せます。そもそもUMINは、我が国にまだインターネットがその存在をほとんど認知されていなかった1989年度に、初代の運営委員長、開原成允先生が医療・医学におけるネットワークの重要性を強く感じ、その基盤を築き上げて開設されたものでありました。今から顧みますと当時はN1プロトコールという低機能の通信規約を用い、現在とは比べものにならないようなツールでコミュニケートしていましたが、かなり限られた利用者の間ではオンラインでの情報交換に子供のように興奮を隠すことができないようでした。現センター長の木内教授も同年度に医療情報の領域に足を踏み入れております。かく言う私も東大病院再開発計画に従事するため分院から本郷キャンパスに移り、UMINのメールや掲示板などを利用し始めたのが1992年でしたから同じような思いで時を過ごしていたわけです。その後、インターネットとウェブブラウザーが普及し始め、Windows95が世に出て間もない1997年に第2代運営委員長、櫻井恒太郎先生が就任されました。前年にUMIN専任担当講師となった木内先生と共に、飛躍的に発展していったブラウザー機能を最大限に活用してUMIN円熟の時代を到来させたわけです。私は2003年、櫻井先生の後を受け第3代運営委員長となりましたが、2004年からは国立大学病院長会議下の組織として、旧UMIN、MINCS運営委員会を統合した形で新たなUMINが再設置され、初代協議会長としてそのまま任を引き継ぐこととなりました。先代までの運営委員長とは異なり、センター長の木内教授の活躍のおかげで苦労するところもなくUMINは更なる発展を遂げ今日に至っております。
 さて、多々変遷を遂げては来ましたが、UMINの当初の目的であります 1)最新の医学・医療情報の提供、2)大学病院間の作業の共同化、3)医学・医療上の交流の支援、4)医学研究の支援、5)データの標準化と諸統計の整備は今も変わることなく脈々と守られ続けており、最近は国際化と我が国の医療の諸問題に関わる対応が少しずつ目立つようになってきたかと思います。UMINは着実に世の変化を反映しながら健全に育って行っているように思えますが、一方では機能更新、発展のための財源が絶えず問題となって参りました。これが国立大学病院長会議下の組織として再出発した理由の一つでもあったわけですが、UMIN自体も過度に機能拡張を図るのではなく、オリジナルの全国大学病院を繋ぐ共有インフラとしての基本的機能をしっかり保守していくという原点に立ち戻り、コンテンツで発展していく道を目指さなければならないのかも知れません。昨今、医療関連のネットビジネスも大いに発展しており、一部にはかなりインパクトのある社会的な役割を果たしつつあるウェブサイトも出て参りました。私は規程によりそろそろ協議会長も交代の時期を迎えます。いち早く大学病院のネットワークとしてスタートしたUMINではありますが、提供するコンテンツにどれだけの魅力と競争力が持ち続けられるのか、医療、医学教育、臨床研究を変革しうるような有用なサービスを提供し続けられるかが、センター長、そしておそらく次期協議会長にまかされた試練かと思っています。ユーザーの皆様にはこれまで通りUMIN に厚いご支援をお願いすると同時に、その存在価値を高めるために必要なご助言を賜りますことをお願いしましてご挨拶の辞とさせていただきます。