事務小委員長
高知医科大学業務部医事課長
西 利夫
大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)運営委員会 事務小委員会内規 (趣旨) 第1条 この内規は、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)運 営委員会規則(平成11年4月1日施行)第9条の規定に基づき、 学病院医療情報ネットワーク(UMIN)運営委員会事務小委員会 (以下「小委員会」という。)に関し必要な事項を定める。 (審議事項) 第2条 小委員会は、次の各号に掲げる事項を審議する。 (1)大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)の運用に係る事務部 門の利用に関すること。 (2)その他小委員会が必要と認める事項 (組織) 第3条 小委員会は、次の各号に掲げる構成員をもって組織する。 (1)小委員会委員長 (2)全国国立大学病院事務部長会議総務委員会(以下「総務委員会」 という。)が指定した大学の課長及び室長 (3)全国国立大学歯学部事務部長会議が指定した大学の課長 (4)国立大学附置研究所附属病院事務(部)長会議が指定した大学 の課長又は事務長 (5)その他小委員会委員長が必要と認める者 (構成員以外の者の陪席) 第4条 小委員会委員長は、小委員会の同意を得て、構成員以外 の者を小委員会に陪席させることができる。 (報告) 第5条 小委員会委員長は、小委員会の協議事項及び報告事項を総 務委員会委員長に報告しなければならない。 (庶務) 第6条 小委員会の庶務は、小委員会委員長校において処理する。 (雑則) 第7条 この内規に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。 附 則 この内規は、平成11年4月1日から施行する。
前薬剤小委員長
金沢大学医学部附属病院薬剤部副薬剤部長
古川 裕之
1.1.薬剤情報の提供(情報の共同利用)
必要性が高くて提供可能なデータベースを薬剤小委員会で調査・検討した結果2)3)、すぐに利用可能なものとして、日本医薬情報センター(JAPIC)と医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が作成した「医療用医薬品添付文書情報データベース(JAMES)」、「薬価改正情報データベース」と「医薬品等安全性情報(1997年6月までは「厚生省医薬品副作用情報」という名称)」の提供を開始した。続いて、新しい試みとして、島根医科大学の協力により、ファイル転送を利用した「輸液情報コンサルテーションシステム(ADMICS)」の提供4)を開始した(現在はサービス停止となっている)。また、次のステップとして、大学病院が独自に作成したデータベースの提供を開始した。まず、1992年に「中毒情報データベース5)(山口大学病院薬剤部作成)」、1994年に「服薬指導データベース6)7)(金沢大学病院薬剤部作成)」、そして、1998年7月に「薬剤情報提供データベース(北海道大学病院薬剤部作成)」の順に公開が行われ、現在も継続して情報更新が行われている。一方、いくつかの大学病院薬剤部(福井医科大学、鹿児島大学)のホームページとのリンクにより、それぞれの大学病院薬剤部が独自に作成した各種情報の利用も可能となっている。
1.1.1.医療用医薬品添付文書情報データベース(JAPIC&MEDIS-DC)
本データベースは、「医療用医薬品添付文書」、厚生省発行の「緊急安全性情報」、「再評価結果」、「再審査結果」「医薬品等安全性情報」、日本公定書協会・日本製薬団体連合会発行の「DRUG SAFETY UPDATE」を情報源として17,000を越える製剤のデータから構成されている。本データベースは、多くの大学病院において、処方オーダリングシステムにおける医薬品情報提供用および病院医薬品集作成用の情報として活用されている。本データベースは、UMINホストコンピュータ更新(1998年)によりオンラインでのダウンロードが可能になったため、今後5年以内に各大学への磁気テープによる提供を中止することが予定されている。
ホストコンピュータ更新に伴い、検索機能が大きく改良されて全文キーワード検索が可能となりデータベースの利用性が向上している。しかしながら、厚生省が進めている1999年5月末からのインターネットを利用した添付文書情報の一般公開の進行に合わせて、UMINでも本データベースの活用方法を見直していくことが今後の課題である。
1.1.2.中毒情報データベース(山口大学医学部附属病院薬剤部)
中毒情報は、洗剤から医薬品まで23項目に分類され、タイトルを選択することにより情報参照が可能である。また、ダウンロード機能とメール機能を有しているので、利用者の必要に応じて情報の加工を行うことができる。本データベースは、@商品分類、A性状・成分、B毒性、C体内動態、D中毒症状、E治療法、F参考症例から構成され、1992年からUMINで公開されている。ホストコンピュータの更新に伴い検索機能が改良されて、1998年12月から「中毒データベース検索システム」として一般公開されている。最近、薬物(毒劇物)を使用した事件が多発しており、事件発生時の救急治療の有用な情報提供手段としての期待が高まっている。
また、UMINでは福井医科大学の「中毒リンク集」も一般公開されており、最近話題となった砒素化合物、アジド化合物やシアン化合物についての情報を参照できる。さらに、中毒情報を入手できる国内国外のホームページやデータベースとリンクされており、今後需要が高まると予想される薬物中毒情報の有用な情報源となる。
1.1.3. 服薬指導データベース(金沢大学医学部附属病院薬剤部)
本データベースは、「病気と治療薬剤についての必要な情報を簡単に参照できるハンドブックが手元にあったら力強い」という理由で企画した『疾患別服薬指導マニュアル』をデータベース化したものである。1994年7月より試作版(29疾患)をUMIN2上でGopher形式により公開してきたが、1996年4月より疾患数を86に拡大した。UMIN上での更新は行われていないが、データ更新は定期的に行われており、現在、92疾患についてのデータが蓄積されている。
本データベースの情報は、各疾患ごとに疾患の概要と治療薬剤の概要の2部分から構成されている。疾患の部分では、主要92疾患について、@疾患の概要と成因、A分類と症状、B合併症と対策、C治療薬剤の分類と特徴、D薬物療法以外の特記すべき治療法などの15項目について、治療薬剤の部分では、各疾患の治療における重要薬剤5〜6剤を選択し、@作用機序、A副作用と処置、B相互作用、C投与・剤形変更時の注意、D服薬指導、E飲み忘れや過量投与時の処置法と注意、F体内薬物動態など15項目を要約している。毎年データ更新を行い、信頼性確保のために本院専門医(約40名)のチェックを受けている。本データベースはダウンロード可能(UMIN3利用登録者限定)であり、LZH形式(パーソナルコンピュータ用)と tar+compress形式(UNIX用)の2通りで行うことができる。本データベースは、ダウンロード後、利用者の目的に応じて自由に情報追加や削除を行うことによって臨床業務と薬剤師の教育研修に活用されることを公開目的としている。
1.1.4.薬剤情報提供データベース(北海道大学医学部附属病院薬剤部)
本データベースは、北海道大学で採用している1304品目の医薬品について文書による患者への服薬説明に利用するためのもので、@薬品名称、A薬効、B特殊薬効、C副作用、D使用上の注意、 E保管時の注意、Fカラー画像(散剤・水剤は除く)から構成されている。今年7月からUMIN3での提供を開始した。ダウンロード可能であり、各施設の事情に応じて自由に加工できる。現在、データ更新は3カ月毎に行われている。
1.2.薬剤情報の収集(情報の共有化/共同利用)
UMINが独自性を有するためには、魅力的な情報を提供する機能を持つことがひとつの条件である。医療分野において必要と思われるデータベースを検討し、必要であればデータベース(蓄積型データベース)作成にも取り組むことが重要である。薬剤小委員会では、臨床において有用と思われるデータベースとして、有害作用情報、注射薬配合変化情報、症例に関する情報の蓄積を検討している。同時に、すでに提供しているデータベースのメンテナンス方法についても検討している。
薬剤管理指導業務の拡大とともに臨床現場での情報収集が容易になったことや情報通信技術が向上したことから、病棟における薬物療法上の問題点(@注射薬の配合変化、A副作用と相互作用、B Problem List=薬剤管理指導記録中の薬物療法上の問題点と解決法の記録)についての情報を全国規模で収集・蓄積し、それらを共同利用することが可能な環境にある。
1.2.1.有害作用情報
1998年4月から、厚生省管轄の全国の病院をネットワークで結ぶHOSPnetが開設され、薬剤投与に伴う有害反応に関する情報を収集するシステムが稼動している8)。大学病院は有害作用モニターの重要施設であり、同様のシステムを早期に導入し、治験薬を含む有害作用(事象)に関する情報を収集・蓄積する必要がある。 薬剤小委員会においても、UMINを利用して副作用・相互作用情報をオンラインで収集する検討を進めてきたが、HOSPnetの計画が先行するとの判断から、同じシステムを利用する方向に軌道修正した。
HOSPnetでの経験によると、本システムで全国から収集したデータを有効に活用するためには、早急に使用用語の標準化が必要であり、この課題解決への協力を薬剤小委員会に求められている。
1.2.2.注射薬の配合変化情報
注射薬の配合変化情報については、情報量が非常に不足している。薬剤小委員会では、発足当時からワーキング・グループを設置し、島根医科大学を中心に情報収集を進めている。また、薬剤部門だけでは不十分との判断から、看護小委員会にも協力を依頼し、臨床現場で経験する未知の配合変化を共通記録シートを用いた情報収集に取り組んだ9)。しかしながら、シートによる収集では情報蓄積が十分に行われなかったことから、注射医薬品配合変化に関する標準的情報項目を再検討し、配合変化実例をUMINに直接登録(SGML化)する方式についての検討を進めている10)。
1.2.3.Problem Listに関する情報
薬剤師が臨床で経験する症例における問題点(Problem List)とその対応についての記録を蓄積し、全国のすべての薬剤師が蓄積情報を共有化して臨床業務に活用するための試みである。 Problem Listのデータベース化は、薬剤管理指導業務を行うすべての薬剤師が情報を共有化でき、それぞれの病棟業務に活用できる点で有効な方法である11)。すでに、金沢大学においてパソコンレベルでの実験が終了し、UMINを利用して情報を全国規模で収集してデータベース化する方向で準備を進めている。全国規模での情報収集を行い、共同利用が可能で検索効率の高いデータベース化を実現するためには、入力方法と表現規則のルール化が重要であり、シンプルで例外の少ない入力方法と表現規則の検討を進めている。
1.3.薬剤関連業務の合理化
薬剤関連業務合理化を実現するためには、同一の目的を有する施設が共同で課題に取り組むこと、加工しやすい電子媒体(フロッピーディスク:FD)や通信手段で情報伝達を行うことが有効な方法であると思われる。このような観点から、薬剤小委員会では、現在と近未来に予想される全国的な問題点の検出を行い、その解決のためにいくつかの試みを行っている。
1.3.1.血液製剤に関する記録の管理・保管
血液製剤に関する記録の管理・保管については、記録の保管期間が10年と長いことから電子的保存が有効であると思われる。また、記録のための作業を軽減するために製剤ロットのバーコード入力化が有効であるとの判断から2次元バーコード導入を提案した12)。バーコードについては、JANコード体系と併せて2001年に改定が予定されている。現在、厚生省委託事業『用語/コード標準化委員会(委員長:里村洋一・千葉大学医学部教授)』の下部組織である『医薬品コード検討委員会(土屋文人・帝京大学市原病院)』において、商品名や会社名に加えて、製造番号、製造日や有効期限などの商品属性情報を持つことにより確実かつ効率的に全医薬品を管理できるバーコード(例.可変長バーコードシンボル/EAN-128、2次元シンボル/QRコード)導入についての検討が進められており、その動向に併せて医療現場から見て必要と思われる提案を続けることが重要である。また、本問題についての全国立大学病院への調査は、UMINのメーリングリスト(各大学薬剤情報担当者)を用いることにより短時間で情報収集を行うことができた。同様の実験から、メーリングリストを利用した情報入手は緊急の調査手段として有用であり、今後も新たな問題解決に活用していく予定である。
1.3.2.新GCPに対応した治験薬管理
新GCPに対応した治験薬管理については、関連する資料が膨大なため、効率のよい管理のためには電子媒体の利用が有効である。国立大学の共通ソフト開発の中で、『治験管理システム(東京医科歯科大学)』が開発されたが、導入が予定通りには進んでおらず、実際の治験管理業務をサポートする上で、いくつかの課題に取り組んだ。
第1の試みとして、治験プロトコルと治験薬プロフィール情報の標準50項目について電子媒体(FD:MS-Excel)による治験依頼者からの提出を提案した13)。この提案は、治験責任・分担医師の治験薬処方時や薬剤師の治験薬調剤時にプロトコルと治験薬プロフィールを短時間で確認できること、また、治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board)における審査時の補助資料として利用することを目的としている。金沢大学で行ったフィールドテストにおいては良好な結果が得られており、全国的な利用を働きかけている。このような標準情報項目の検討は、各医療施設からの個々の要求による治験依頼者の混乱を防止するだけでなく、臨床試験の円滑な進行に効果的に利用できる点からも必要と思われる。
第2の試みとして、治験依頼者間で様式が統一されていない有害事象報告の共通フォーマット化の提案を行った14)。この提案は、治験依頼者から大量に提出される有害事象報告の管理とIRBでの審査の効率化を目的としている。国内治験における有害事象報告は、厚生省で定めている「様式2.治験薬副作用、感染症症例票」で行われることが多いが、海外治験には統一した様式はない。世界規模での情報交換を考えると、国内と国外を問わず、同じ様式で統一する方が良いと思われる。提案した必要情報17項目は、金沢大学病院薬剤部で作成した原案をもとに治験依頼者と金沢大学病院の各診療科への調査を行い、その結果を反映したものである。標準項目については、1999年3月から利用可能なMedDRA(Medical Dictionary for Reguratory Activities)を使用するなど表現規則の統一を行い、電子媒体あるいはインターネットを利用した提供を検討する必要がある。
また、1999年2月には、全国の薬剤部治験担当者が参加する『治験に関する会議室』を設置し、治験全般についての情報交換および共通する問題点の検出・分析そして解決のために活用していく予定である。本会議室には文部省大学病院指導室からの参加もあり、担当者の声が直接文部省にも届くという画期的な会議室である。
1.3.3.UMIN薬剤カテゴリーコード
現在、薬効分類に利用されている「日本商品分類」には、@新しいメカニズムの薬剤を分類できない、A改訂時にコードが変わるという大きな問題点がある。これらの問題点を解決するために、「UMIN薬剤カテゴリーコード」を作成し提案し、UMIN上で公開している。本コード体系は、上記の2つの問題点を解決するため、英数5桁(大分類3桁+小分類2桁)で構成され、新しいメカニズムの薬剤の分類項目の設定が容易なこと、また、可能な限り作用メカニズム(受容体レベル)による分類が行われることから、病院情報システムにおける相互作用や薬剤重複などのチェック機能への利用を目的としたものである。2000年に総務庁において予定されている『日本商品分類』大改訂において本コード体系の基本原則が反映されることを期待し、広報活動を続けている。
2.1. 問題解決集団としての役割 UMIN薬剤小委員会は、医療フィールドで発生する薬剤情報に関連する本質的な問題点を検出・分析し、有効な解決方法を提示できる作業グループとして今後も需要な役割を果たすことが求められている15)。10年の活動期間を有するUMIN薬剤小委員会ではあるが、各大学病院のUMIN利用環境と薬剤部のUMINに対する関心度には差があり、すべての大学病院薬剤部が積極的にUMINを利用しているとは言い難い。特に、大学病院の薬剤師にとっては、これからの3〜5年は非常に変化が大きい時期となることが予想される。早急に解決しなければならない問題も多数発生し、それらの問題の中には単独の大学で解決できないものも存在する。このような問題に対しては、物理的に離れていても同時に多数の大学が情報交換を実現できるUMINの様々な機能を有効に活用することが必要となる。全国国立大学病院薬剤部長会との緊密な連携を取りながら、薬剤小委員会が中心となって実際の作業グループとして活発な活動を展開していくことが重要であると思われる。
2.2 蓄積型データベースへの取り組み 今後、特に薬物療法に関連したテーマについて、全国の大学病院が協力して情報収集することが必要になると思われる。薬物療法において薬剤師が果たす役割は、薬物治療の有効性と安全性の監視と確保である。今後、薬剤師のベッドサイド業務は増大し、薬物治療において発生する様々な事象を検出・分析して客観的データとして記録することが求められる。これらの情報を全国規模で収集し、それらをデータベース化し、そのデータベースを共同利用することは患者に適正な薬物療法を行うために有効な手段となることが期待される。いくつかの大学がグループを作りメンテナンスを行うことにより、同時に複数のテーマに取り組むことが可能になる。大学の独自性へのこだわりが共同作業を進める上での障害となることが予想されるが、大きなテーマに対しては協力体制で取り組むことが必須となることを十分に理解する必要がある。また、データベースの今後のメンテナンス方法としては、データベースを管理する大学が簡単にデータを更新できるようなシステムにすることが望まれる16)。
2.3 通知の伝達と統計情報のオンライン登録 現在、事務部門においては、中央からの事務連絡はUMINを利用している。また、各種統計情報についてもオンライン登録となっているが、薬剤部門においては現在その両方が行われていない。薬剤部門においても、事務部門同様、各種通知にUMINを利用することは合理的であり、時間と経費節減のために必要と思われる。また、毎年実施される業務統計や実務担当官会議用の調査についても、UMINを利用したオンライン登録の導入を早急に検討すべきである。これらを実現することで、UMINへのアクセスが日常となり、薬剤部門においてUMINがより身近なものになり、活用範囲も増大することが期待される。
2.4.他の専門グループとの協力体制
正確で効率的な情報交換には電子的通信が効果的であり、それを実現するためには情報項目と表現規則および通信方法の「標準化」が必要である。UMIN薬剤小委員会では、活動開始当初から薬剤情報の共有化と共同利用を目的として、情報表現規則、情報伝達方法および情報収集方法の標準化に向けて取り組んできた。それらの検討結果と解決のための提案事項は、これまで可能な限り学会・論文等で発表を続けている15)。しかしながら、標準化は、薬剤部門だけの努力で実現できるものではない。幸い、医療情報学の分野は多くの専門性が同居している。今後は、薬剤部門以外の活発な専門作業グループ(例。日本医療情報学会の各委員会、厚生省科学研究グループなど)との協力関係を深め、次々に発生する諸問題解決に向けて、広い視野からの取り組みが特に必要になると思われる。
謝辞:薬剤小委員会のこれまでの活動に対しご理解とご支援をいただいた、開原成允、櫻井恒太郎歴代運営委員長をはじめとする運営委員の先生方、また、大江和彦、木内貴弘両先生をはじめとする歴代事務局の皆様に心より感謝いたします。
【参考文献】
1 折井孝男ほか:大学医療情報ネットワーク薬剤部門小委員会の活動とその報告.平成3年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp135-138、1992
2 薬剤小委員会(折井孝男委員長)ほか:国立大学医療情報ネットワークで提供する薬剤情報の調査.平成元年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp151-154、1990
3 薬剤小委員会(折井孝男委員長)ほか:医療情報ネットワークにおける薬剤情報の提供とその設計.第9回医療情報学連合大会論文集、pp157-160、1990
4 西村久雄ほか:大学医療情報ネットワークを利用した薬剤情報の共同利用の検討.病院薬学、19(3):248-254、1993
5 星田昭子ほか:山口県における「中毒情報提供システム」の評価.月刊薬事、33(11):2391-2398、1991
6 古川裕之ほか:UMIN3による薬剤情報の提供/服薬指導データベース.平成8年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp73-76、1997
7 古川裕之ほか:医薬品情報を利用して見せる/ケースレポート6.金沢大学医学部附属病院.折井孝男編、これからの薬剤情報/あつめ方、よみ方、つたえ方、pp130-138、中山書店、1998
8 山本光昭:HOSPnet医薬品情報システム.月刊薬事、40(8):1923-1927、1998
9 西村久雄ほか:大学医療情報ネットワークにおける注射医薬品配合変化情報の収集.平成7年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp129-131、1996
10 西村久雄ほか:UMINにおける注射医薬品配合変化情報収集の提案.平成9年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp144-145、1998
11 旭 満里子ほか:薬剤管理指導で生じた薬物療法上の問題点と解決法に関するProblem Listのデータベース化と活用−その共同利用の提案−、病院薬学25(1):53-59、1999
12 下堂薗権洋:血液製剤管理システムの開発に向けて.平成9年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp121-124、1998
13 古川裕之ほか:治験薬に関する標準情報項目の提案.平成9年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp155-158、1998
14 川井絵美ほか:新GCPに基づいた治験薬の有害事象のデータベース化における問題点の分析.病院薬学25(2):196-203、1999
15 古川裕之:大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)/医療フィールドにおける諸問題解決への新たなアプローチ.月刊薬事、40(11):2545-2548、1998
16 古川裕之ほか:UMINで利用可能な薬剤情報データベースと今後の課題.平成10年度国立大学附属病院医療情報システムシンポジウム演題論文集、pp36-39、1999
看護小委員長
東京大学医学部附属病院看護部長
入村瑠美子
@ 各大学看護部の実態調査をUMIN上にのせる。
「期待される効果」として集計・分析が容易で正確になり、各大学看護部長の管理業務の資料として利用しやすくなる。
A 国内看護文献データベースを提供する。
「期待される効果」
当時、UMIN上からMEDLINEによって文献検索は可能だが国内看護文献がわずかしか含まれていない。日常の看護業務改善のための研究を推進するためには国内看護研究文献データが必要であり、看護職員の時間を効率的に活用するためにも端末からの検索は効果的である。
B 標準看護計画を提供する。
「期待される効果」
標準的な看護計画を検索できることによって、看護のレベル維持(質保証)が可能になり、現任教育にも活用できる。
C 看護技術支援システムを開発する。
「期待される効果」
できれば映像も含めた看護技術支援システムを提供することによって、看護技術の質保証、現任教育に資する。
D 物流システム等、事務部門等の他部門との関連事項について協力する。
以上の5項目については、現在に至るまで既に実現できているものもあり、当初目的としていた項目もある程度達成できており、そのまま看護小委員会活動の歴史と言えるのではないかと思う。
そして、当時の看護小委員会は、看護情報のシステム化に先進的に取組んでいる大学と在京3大学からなる香川医科大学・鹿児島大学・滋賀医科大学・京都大学・千葉大学・東京医科歯科大学・東京大学の看護部長が委員を担当し、構成されていた。
UMIN運営委員会には、平成2年度第1回からの小島通代看護部長会議会長が看護小委員会委員長として出席している。
平成3年頃より、香川医科大学病院の標準看護計画が東京大学の病棟の看護管理端末上から展開出来るなどの試みが開始され、さらに平成4年にはUMIN上に上記の香川医科大学の標準看護計画および鹿児島大学の看護度分類が看護領域における取り組みとして紹介され、全国の大学からUMINを介して参照可能になった。しかし、現実には利用環境不備などの問題があり、普及にはもう一歩という状況であった。
標準看護計画システムは看護内容そのものの電子化であり、管理帳票や勤務表作成システムとは異なった実際の看護場面で利用できるコンピュータ化の先駆けであり、強烈なインパクトがあった。現在、いくつかの大学で稼動している看護診断システムに大きく影響を及ぼしたと言える。また、鹿児島大学の看護度分類は看護を量として測定する基準であり、厚生省の看護度基準では反映されない患者情報を加味したものであった。
2)看護部門をとりまくコンピュータ化の影響
平成4年度以降の看護部門をとりまく状況は、UMINの利用を具体化することに優先して、各大学において看護情報のコンピュータ化が急速に進行した時期にあたり、日常の看護業務の中でコンピュータの利用が定着していく過程であった。この事は国立大学病院医療情報処理部門連絡会議への看護職の参加が年々増加し看護の演題発表も年々増えて多岐にわたり、現在では看護のセッションだけでも1日のプログラムを組めるほどであることに顕著である。
3)現状の活動
平成8年度に入り、大学病院看護部門においてUMINの利用が具体的・実用的になっている。
@平成8年度よりUMIN看護小委員会ホームページを開設
○ここでは看護部長会議関連の年間行事予定・特別検討委員会の課題および委員名簿、全国国立大学病院看護部長名簿を公開している。
○看護関連サイトを設け文部省・厚生省・看護協会のホームページにアクセスでき、看護関係の最新情報が収集できるようにした。
○各大学看護部長及び各担当副看護部長毎に官職指定アドレスを設定し、情報伝達やメール交換を容易にするためにUMIN利用環境の整備を行った。また、バックナンバーとして平成8年度・平成9年度の参照が可能であり、データの更新は東京大学が事務局を担当している。
A平成10年度より看護部実態調査をUMIN上で実施
○毎年7月1日に実施していた看護部実態調査を、各大学の端末からUMIN上でデータを直接入力こととした。この事により、集計作業の省力化とUMIN利用がより実用化された。
これまでの調査は年1回、調査表に記入する手作業としていたが、平成9年度より、表計算ソフトExcel上に各大学がデータを入力し、東京大学看護部でフロッピーにより一括集計とする方式に変更した。
さらに平成10年度より、UMIN上に看護部実態調査収集システムが大学病院総合医療情報収集システムの一つとして加わり、大学毎の集計及び集計状況が一覧できるようになった。実態調査の内容は看護職の勤務体制や夜勤回数、実習受入状況、採用状況等が含まれている。
2)MINCS等環境の積極的利用による職員教育への取組み
平成11年度よりMINCSが30大学に拡大される計画があるので、MINCSを看護職員の教育等に積極的に活用していきたいと考えている。
臨床における看護の質を高め、患者サービスに還元できる看護研究について現在では殆どの大学病院で取り組まれ、学会発表等の実績がある。
MINCSを大学病院の研究発表の場として大いに活用し、大学間の看護について情報交換を行うことを今年度は具体化していく計画である。大学附属病院の看護職員なら誰でも各大学からこの企画に参加できることは、現場を離れることの困難な技官職にとってはこの上ない大きなメリットである。
臓器移植や遺伝子治療等における看護や新しい試みの紹介、そして担当大学を会場とする講演会の開催などMINCSの有効活用を目指していきたいと考えている。
検査小委員長
浜松医科大学医学部附属病院検査部教授
菅野 剛史
1)UMINの利用について
@ UMINの利用を公・私立大学、場合によっては、臨床検査の関係者に全てが利用出来るようにする。
A 国立大学での利用に関しては、クローズドな環境を利用する。
2)利用できる資源と利用例
@ 検査部WGのホームページの立ち上げ
各大学でホームページを立ち上げているが、この中で検査部が関与しているDB、情報に関してはリンクを行う。
例:浜松医科大学検査部の基準範囲、新潟大学の検査マニュアル
A 国立大学検査部会議で作成されていた国立大学検査部統計などはクローズドな環境で中央化する。
B 臨床検査項目コードは臨床病理学会に利用を申し出る。
教育用症例に関しては、各自の提供の下で共同利用を考える。
C メーリングリストの作成
3)調査と作業の必要な事項
@ 各国立大学検査部でのUMINの利用状況のアンケート調査
A 検査部WGのホームページの立ち上げ
B 今後のWGの強化などが話し合われ、具体的にはUMIN運営委員会の小委員会としての機能を果たしていくこととなった。
技術小委員長
東京大学医学部附属病院
中央医療情報部助教授
木内 貴弘
1)データベースの標準化への取り組み
UMINで提供しているデータベースの仕様については従来UMIN事務局内で検討されて開発されてきた。しかしながら、UMINで国立大学病院に提供していることの影響力は非常に大きく、仕様の策定には注意が必要である。例えば、医療材料マスターデータベースの仕様を策定してUMINで提供しているが、各ベンダーが各大学で稼動する物流管理システムのデータベースの仕様をUMIN仕様にあわせるようになってきている。国立大学病院には主な病院情報システムベンダーがすべて入っているため、どのベンダーもそれに合わせた製品を他の病院にも提供できるようになってきている。また大学病院は最も病院情報システムの活用が進んでおり、地域のリーダーとなっている。このため、各地域の病院がこれと同じ仕様を採用することがおこりやすい。このようにUMINで採用した仕様が事実上の標準になってしまうことが考えられ、このためより多くの意見を吸収できる技術小委員会で取り組むことが必要と考えられる。医療材料マスターの他には、学会演題抄録データベースの仕様策定も当面の大きな課題である。UMINのオンライン抄録登録システムを利用する学会が増えているが、UMINで策定した仕様で各学会にデータが渡されるために、1)印刷会社はUMIN仕様のデータから抄録集をつくるプログラムを作りはじめていること、2)CD-ROMを製作する会社はUMIN仕様のデータを標準にCD-ROM検索プログラムを開発しはじめている。データの仕様(例えば最大共著者数等)が決まれば、印刷会社、CD-ROM製作会社ともソフト開発コストの軽減が可能で、結果的に学会側も利益を得ることができるようになる。UMIN仕様を利用する学会が増えると、これが事実上の標準になってしまう可能性がある。
2)他の小委員会への協力
事務・薬剤・看護・検査の各小委員会は、各々の分野の専門家の集まりであり、各々の分野の専門的知識と技能を有している。しかしながら、提案してもらったアイディアを実際のコンピュータシステムやデータベースとして実現するためにはいろいろな技術的な問題は解決する必要がある。技術小委員会は、こうした意味で他の小委員会を援助できる役割を果たすことが必要であり、今後の重要な機能と考えている。