車椅子操作訓練 <目的>車椅子はなんらかの原因により、歩行不能または歩行能力の 不十分な者に対して、運搬・ADLの拡大・職業能力の獲得などを目 的として使われる。 <車椅子移乗動作>車椅子は患者の健側にベットと20〜30度の角 度で接近させブレーキをかける。車椅子とベットの高さは同じである 必要がある。 @ベットから車椅子に移動する動作(片麻痺):片麻痺患者では患者 の健手で車椅子の肘掛けを握らせ、介助者は患者の骨盤を両手でささ える。患者の膝を介助者の片肘で支持する。患者の足はできるだけベ ットの下でうしろに引かせておき、介助者は上半身を前かがみにして 患者を健手と健側下肢に力を入れさせて立ち上がらせる。患者の患側 下肢が屈曲しないように支持し、骨盤を介助者側に引きよせるように 立ち上がらせ、次に手を他側の肘掛けに移させ、健側を軸として90 度回旋させる。(方向転換は、右片麻痺では時計針方向、左片麻痺で は反時計針方向を原則として移乗させる。) A車椅子からベットへ移動する動作(片麻痺):車椅子に乗った体の 健側の斜め前にベットがくるように移動する。(ベットから車椅子に 移る時とちょうど逆の位置に車椅子を置く。)車椅子の肘掛けに健側 の手を置いて立ち上がり体が安定したら、次にその手をベットの上に 置いて体を支えるように半回転しベットに腰かける。 Bベットから車椅子へ移動する動作(対麻痺):ベットに平行に車椅 子をおき、左右のブレーキをかける。車椅子の肘掛けに殿部をのせる ベットに遠い側の肘掛けに手を移動し、しっかり握り、体を押し上げ て座席に体をおろす。両手で片側ずつ下肢を持ちあげて足板に下肢を おろす。 C車椅子からベットへ移動する動作(対麻痺):ベットに平行に車椅 子をおき、左右のブレーキをかける。車椅子の肘掛けを握り、体を押 しあげ、ベット側の肘掛けに殿部をおろす、肘掛けを握っていた手を 少しずつ移動して体を押しあげベット上におろす。片側ずつ下肢を持 あげベットに移動する。 <車椅子動作の特徴> @前後の移動はスムーズにできるが、横移動はできない。A移乗にエ ネルギーを要する。B床の段差は負担が大きいかまたは不能である。 C床のすき間に前輪自在キャスターが落ち込みやすい。  以上があげられるが、これらを患者に熟知させ訓練を行っていく。                             5−w