牽引(鋼線)  骨に直接、鋼線を刺入し、それを介して牽引力を働かせる方法であ る。この方法では約9〜13Kgまでの力を加えることができる。四 肢骨折の整復固定等に適応される。 1)必要物品:鋼線牽引セット(手術室に連絡して準備しておく)  @緊張弓 A鋼線緊張器 B鋼線定用ボックスレンチ Cモーター   と付属 Dコード E鋼線ガイド Fペンチ Gキュルシュナー   鋼線 HL型スパナー I固定皿 J固定ネジ Kフック  ・スキントレイ、滅菌シーツ、グリーンシーツ、滅菌手袋、穴あき   四角布、局所麻酔薬、垂鍾、垂鍾入れ、ヒモ、フレーム一式、   安楽枕 2)手順  @剃毛 A皮膚消毒 B局所麻酔  C鋼線刺入:ドリルに鋼線を固定し、鋼線ガイドを装備し骨まで刺   入し、ドリルを回転させ、反対側の骨膜まで通過させる。そこで   ドリルを止め反対側の皮膚を貫通させる。  D両側の鋼線刺入部に割ガーゼを当て固定皿と固定ネジを装着し、   鋼線が移動しないようにする。  E牽引弓を鋼線にはめ、十分に締めて、鋼線の両端を折り曲げ左右   移動しないようにする。そしてグリーンシーツで保護する。  F下肢を牽引する場合は下肢架台や安楽枕などで、肢位調整し比重   台を用い十分に対抗牽引を行う。上肢の場合は、抑制帯で肩を固   定する。 3)看護  @牽引の方向と重量の確認 A表情や訴えの内容により疼痛の有無   と性質、程度を観察する B刺入ピンの動揺の有無、皮膚がかた   よって引っ張られていないか観察する C刺入部の発赤、浸出液   の有無と感染予防 D皮膚、循環障害、神経障害(腓骨神経麻痺   に注意する E垂鍾は医師の指示によるが、疼痛などが強い場合   は、0.5〜1Kgは減量して様子をみる。その後も疼痛が強い   場合は医師に報告し指示を受ける F褥創予防のため体位変換を   1日1回は行う G体位変換など垂鍾をはずす時は、徒手牽引を   必ず行う H保清を行う I気分転換をはかる J牽引びよる不   安の緩和をはかる Jリハビリ、患肢のセッティング、健肢の筋   力増強運動、関節可動域訓練を行う                             5−W