喀血  気管、気管支、肺からの出血で鮮紅色の血液が咳とともに口腔から 排出されること。 要因:1)呼吸器系の異常    @炎症:肺炎、肺結核、肺膿瘍(肺化膿症)、気管支拡張症    A腫瘍:肺癌(原発性及び転移性)、喉頭癌    B外傷:肋骨骨折や胸部外傷 症状:咳や胸部圧迫感などの前駆症状、またはそれなしに鮮紅色の泡   沫を混ずる血液を喀出する。分量は数mlから1リットル。 治療:1)気道の確保:凝血による窒息を起させないように上体を抵   くして喀血しやすい体位を取らせる。    2)出血・ショックに対し血管確保をして補液や輸血、昇圧剤   投与をする。    3)止血に対する処置:凝固剤、血管強固剤、抗プラスミン剤   を併用する。咳嗽は止血の妨げになるので鎮咳剤の投与も有効で   ある。出血部確認の目的と併せて気管支鏡を用いた病巣気管支へ   の留置、トロンビン・ボスミンなどの局所注入や経気管支鏡的な   バルンによる圧迫止血、気管支動脈造影の塞栓術を行う。 看護のポイント:突然起こることが多いので冷静に対応する。   1)一般状態の観察:喀血の仕方、喀出された血液量と回数、血   圧チェック、呼吸状態、喀出された血液および混入物の状態。   2)心身の安静:喀出中は仰臥位であっても、嚥下しないように   顔を横にして咳やくしゃみの誘発を防ぐ。また安静にしていれば   出血が自然に止まると説明し不安を取り除く。   3)止血の促進:止血薬の投与と氷嚢を使用。   4)ショック・合併症の予防:@患者の保温に努めて安静臥床を   させ、バイタルサインを測定し医師と連絡をとる。A同一体位を   長時間取ると沈下性肺炎を起こしやすいので介助にて静かに体位   変換をする。B水分及び電解質・栄養分の補給に努める。                             2ーE