■■■ 狭心症治療薬服薬指導 【疾患名】MP 狭心症(CP Angina Pectoris) 【有病率】MP 労作狭心症は全国で60万人 【好発層】HI 約80%は男性,50〜60才代 【予後】 MP @慢性で安定した労作狭心症では予後は良好,死亡率10%   A急性ないしは症状の増悪する不安定狭心症では予後不良,死亡率40% 【概要と成因】 MP @一過性の心筋虚血により生じる発作性の胸痛を訴える   A冠状動脈の器質的な狭窄→労作などによる心筋の酸素需要量増加→心筋の酸素不 足→代謝障害→狭心症(労作中止により軽快) ## A冠状動脈の攣縮→心筋の酸素不足→代謝障害→狭心症   B冠血流の障害が高度→心筋の代謝障害は酸素消費量を減少しても進行性に進展 →構造の崩壊→心筋の壊死→心筋硬塞の発症 【分類と症状】 HI 主な症状:胸部の重苦しさ,圧迫感,息のつまる感じ(チクチクするような痛みは まれ),胸骨下の圧迫感,この症状は漸増漸減型で持続は1〜5分    疼痛は左肩,両腕に放散し,特に前腕,手の尺骨側に放散する また背 部,頚部,下顎,歯,心窩部に始まったり放散することもある   @典型的狭心症:労作や感情興奮によって起こり安静により寛解   A夜間狭心症:夜間の胸部不快感や呼吸困難がおこる   B異型狭心症:胸部不快感は安静時に起こり,睡眠中そのために目がさめる 心悸 亢進,高度の呼吸困難を伴うことがある MP @労作狭心症:労作時に発作が発現 冠状動脈の硬化病変による冠血流の減少によ り,心筋酸素需要量の増加に対応できずに発症   A安静狭心症:安静状態でも心筋酸素需要量が補えない   B労作兼安静狭心症:   C異型狭心症:安静狭心症で発症し,労作で誘発されず,運動負荷心電図によって も虚血所見を認めない症例が多く,冠状動脈のスパスムによる機能的な冠血流障 害が原因   D不安定狭心症:労作時にのみ認めた発作が安静時にもおこる 心筋梗塞に進展す る可能性あり 【治療薬剤の分類と特徴】 MP  〈薬剤名〉           〈分類と特徴〉   硝酸薬            ・冠血管拡張作用→冠血流の増加    @ニトログリセリン  ・全身の動静脈を拡張    Aイソソルビド・ジニトレート  →心臓への前負荷,後負荷減少    (ニトロール,ニトロールR,フランドル)                       →心筋酸素消費量減少   β遮断薬           ・心筋収縮力の低下,心拍数の減少      →心筋酸素消費量減少          ・安定労作狭心症に効果あり                  ・安静狭心症に単独投与は避けるべき                  ・冠スパスムが主因の異型狭心症には禁忌   Ca拮抗薬          ・抵抗血管の拡張→血圧低下    Bニフェジピン       ・冠スパスムを中心とした狭心症に有効(異型狭  (アダラート,セパミット) 心症を抑制)    Cジルチアゼム(ヘルベッサー)    Dベラパミル(ワソラン)   その他    Eジピリダモール      ・血管拡張     (ペルサンチン,アンギナール)                  ・血小板凝集阻止効果                  ・副側血行路の形成促進効果    Fトラピジル(ロコルナール)                  ・血管拡張,強心作用    Gニコランジル(シグマート) 【禁忌の薬(理由)】 IR @酒石酸エルゴタミン(ベレルガル)(末梢血管収縮により血圧上昇)   A塩酸メチルフェニデート(リタリン)(頻脈などの循環器系の副作用を有する) ## (冠スパスムの誘発)   B硫酸ベタニジン(血圧下降により心筋虚血を起こすおそれ)   Cバソプレシン(冠血管の収縮作用のため心機能を抑制)   Dメシル酸フェントラミン(レギチーン)(心機能促進作用のため)   E麻黄(小青竜湯,ヨクイニン)(心機能亢進がみられ,心臓への負担が増加する ため) 【合併症と対策】 MP @心不全→Ca拮抗薬,硝酸薬(心負荷を軽減する)        β遮断薬は禁忌(心抑制作用があるため)        強心薬の使用は避ける(心筋酸素需要量を増加させる為)   A不整脈→β遮断薬その他の抗不整脈薬を抗狭心症薬に併用   B高血圧→Ca拮抗薬が第一選択薬 β遮断薬の併用はさらに効果増強   C糖尿病→血糖のコントロールを行う(低血糖は交感神経の緊張をきたし狭心発作 を誘発するので避ける)インスリン治療中の患者はβ遮断薬を避ける(低血糖の    症状発現を抑え,回復も遷延する) 【生活指導】 MP @労作狭心症:狭心痛の生じる頻度の高い労作(朝の洗面,通勤時,入浴)の前の ニトログリセリンの舌下服用により発作はよく予防される  A発作がコントロールされる範囲内では日常生活の制限必要なし    軽度の運動はすすめる(精神的ストレスの解消,冠状動脈の側副血行形成促進効 果あり)   B危険因子:高血圧,高脂血症,喫煙    →肥満は減量し,適正な摂取カロリー,総脂肪,不飽和脂肪酸,コレステロール 摂取量と食事療法を指導 禁煙 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 MP @PTCA   AACbypass 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 HI @検尿,生化学検査(脂質,糖,クレアチニン,ヘマトクリット) 甲状腺機能( 身体的所見から適応があれば),胸部X線写真   A心電図,運動負荷試験   B冠動脈造影法 LM @心電図(運動負荷心電図) 【疾病に関する用語】 MP @トーヌス(緊張,筋肉の軽度で持続的な収縮)   Aスパスム(攣縮)   BPTCA(経皮的冠状動脈形成術)   CACbypass(冠動脈バイパス手術) HI D粥状動脈硬化症(アテローム動脈硬化症) 【メモ】 【参考文献】 ## Doctor's Advice