■■■ DIC治療薬服薬指導 【疾患名】MP DIC(汎発性または播種性血管内血液凝固) CP (disseminated intravascular coagulation) 【有病率】MP 2〜5万人/年(発症率) 【好発層】 MP 白血病 悪性リンパ腫 骨髄腫 血管内溶血 悪性腫瘍 重症感染 症などの続発 性症候 【予後】MP 死亡率 50〜60% 【概要と成因】 MP @重篤な基礎疾患に合併し,出血傾向と多臓器機能障害(MOF)をきたす   A基礎疾患は白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫,血管内溶血,重症感染症,ショック ,脱水,劇症肝炎,肝硬変などである   B基礎疾患→細胞の崩壊による組織性トロンボプラスチン,エンドトキシン血症, 血流障害により凝固亢進状態の発現→全身性微小血栓多発→血小板,線溶系の活 性,血管の障害→消耗による凝固因子障害→止血機能の破綻→難治性出血(intra ctable bleeding)   Cエンドトキシン,補体,活性酸素,サイトカイン(IL-1)による血管系や組織の障 害→多臓器機能障害 LM @DICでは第T,U,X,[などの因子が消耗により減少 【分類と症状】 MP 〈症状〉   @出血傾向:注射痕よりの止血困難,圧迫部位の紫斑→難治性出血   A多臓器機能障害:ARDS,乏尿,無尿,意識障害,黄疸,虚血性心筋障害 【治療薬剤の分類と特徴】 MP 〈治療方針〉      (○印の数字は以下の薬剤をしめす)   1.基礎疾患の治療   2.抗凝固療法(@〜B)   3.補充療法   4.抗線溶療法(CD)   5.臓器庇護療法  DICの治療は凝固亢進状態の是正にあり早期診断,早期治療が大切  〈薬剤名〉              〈分類と特徴〉   @ヘパリン              抗凝固剤   AアンチトロンビンV  抗凝固剤   Bメシル酸ガベキサート(FOY)   蛋白分解酵素阻害剤 Cメシル酸ナファモスタット(フサン) 〃   Dトラネキサム酸(トランサミン)   抗線溶剤 【禁忌の薬(理由)】 MP @一般に抗線溶療法は禁忌(凝固亢進状態に対する二次性の線溶亢進が伴い,血管 内血栓の除去に必要な反応のため)   Aしかし急性前骨髄性白血病,非代償性肝硬変,肝不全に伴うDICは線溶亢進に よる出血傾向が増強しているので抗線溶療法(トラネキサム酸)が必要→過剰投 与は慎むこと 【合併症と対策】 MP 基礎疾患との合併→基礎疾患の治療   1.白血病→抗白血病療法 2.溶血→ハプトグロビン剤,血漿交換   3.悪性腫瘍→制癌療法 4.重症感染症→抗生物質   5.ショック,脱水→循環管理,補液,電解質管理   6.劇症肝炎,肝硬変→肝庇護,血漿交換 【生活指導】 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 MP 補充療法:血小板輸注,新鮮(凍結)血漿,クリオプレシピテート第XV因子製剤 (フィブロガミンP) 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 JL @フィブリノゲン(第T因子):正常値 200〜400 mg/dl   Aプロトロンビン時間(PT):外因系と共通系の凝血能を反映(第T,U,X, Z,]の5因子)   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−   |1.プロトロンビン時間(秒):正常値 11〜14秒 |   |2.プロトロンビン時間(%):正常値 70〜140 %|   |3.プロトロンビン比 :正常値 1.15〜0.85|   |4.プロトロンビン指数(%):正常値 85〜120 %|   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−     2.とは正常血漿を希釈して希釈曲線を作って求める→JL参照     3.とは(被検PT/対照PT) 4.とは(対照PT/被検PT)×100 (%)   B活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT): 因系と共通系の凝血能を反映(第T,U,X,[,\,],]T,]Uの8因 子)     活性化部分トロンボプラスチン時間 (秒):正常値 28〜33秒 Cフィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP): 線溶現象の検出の指標:正常値 10μg/ml以下   DフィブリノペプチドA(FPA):    トロンビンによるフィブリノゲン→フィブリンT反応の遊離物質   EフィブリノペプチドBβ15-42 (FPBβ15-42):   プラスミンによるフィブリンUの分解物   Fβ-トロンボグロブリン(β-TG):     血小板のα顆粒球に存在し,ADP,コラーゲン,トロンビンなどにより活性 化された血小板より放出される   Gα2 アンチプラスミン(α2 AP):     別名(プラスミンインヒビター α2 IP)で線溶系のプラスミンの生理的イ ンヒビター MP @〈凝固系〉    1.減少する指標     血小板数,フィブリノゲン,アンチトロンビンV     凝固因子(PT,APTTの延長) 2.増加する指標     β-トロンボグロブリン,FPA,可溶性フィブリン複合体キニン   A〈線溶系〉    1.減少する指標     プラスミノゲン,α2アンチプラスミン(α2 AP)    2.増加する指標     プラスミン・α2 AP複合体,FDP,FPBβ15-42   B〈血液学的所見〉     血沈遅延(CS フィブリノゲン低下のため),破砕赤血球増加 【疾病に関する用語】 MP @MOF(multiple organ failure):多臓器不全   AARDS(adult respiratory distress syndrome)       :成人呼吸窮迫(障害)症候群   BFMT:フィブリンモノマーテスト   DTAT:トロンビン・アンチトロンビンV複合体 【メモ】 CS @血栓多発によるMOFに対するウロキナーゼや組織プラスミノゲンアクチベータ (t−PA)のような血栓溶解剤の効果は未確立   AビタミンK静注による第U,Z,\,]因子の回復→DIC悪化の可能性あり NP @フィブリノゲン(第T因子),プロトロンビン(第U因子),組織トロンボプラ スチン(第V因子),血漿トロンボプラスチン成分(第\因子),血漿トロンボ プラスチン前駆物質(第]T因子) 【参考文献】