4 [解説]医薬品の適正使用のために   輸血用血液製剤と輸血後GVHD  輸血用血液製剤による輸血後GVHDに関しては平成8年4月に「緊急安全性情報」 により注意喚起が行われ,本情報No.137(平成8年5月号)において発生機序 や診断,注意点について解説を行った。これらの情報では,放射線照射が予防に有効 であるとして,ハイリスクの患者への輸血用血液には,照射するよう注意喚起を行っ たが,その後7例の報告がなされ,そのいずれにも放射線の照射がなされていなかっ た。そこで同年12月に再度「緊急安全性情報」により注意の徹底を図った。また, 輸血後GVHDを予防するため,日本輸血学会からも「輸血によるGVHD予防のた めの血液に対する放射線照射ガイドラインIII」が作成され,徹底が図られている。 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |成分名                |当該商品名            | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |人全血液               |人全血液CPD「日赤」(日赤)  | |                   |人全血液ACD「日赤」(日赤)  | |ヘパリン加新鮮血液          |ヘパリン加新鮮血液(日赤)    | |人赤血球濃厚液            |赤血球M・A・P「日赤」(日赤) | |                   |濃厚赤血球「日赤」(日赤)    | |洗浄人赤血球浮遊液          |洗浄赤血球「日赤」(日赤)    | |白血球除去人赤血球浮遊液       |白血球除去赤血球「日赤」(日赤) | |合成血                |合成血「日赤」(日赤)      | |新鮮液状血漿             |新鮮液状血漿「日赤」(日赤)   | |人血小板濃厚液            |濃厚血小板「日赤」(日赤)    | |人血小板濃厚液HLA         |濃厚血小板HLA「日赤」(日赤) | |解凍人赤血球濃厚液          |解凍赤血球濃厚液「日赤」(日赤) | |解凍人赤血球浮遊液          |解凍赤血球浮遊液「日赤」(日赤) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |副作用:GVHD                             | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  我が国における輸血後GVHD(graft‐versus-host disease;移植片対宿主病) が原病に免疫不全のない患者においても手術後等に発生していることが確認されたこ とから,その防止を目指し「輸血用血液に対する放射線照射のガイドライン」が,日 本輸血学会から会告として示された(平成4年1月1日)。そして,同年4月より一 部症例について輸血用血液への放射線照射が保険診療が可能となった。更に,日本赤 十字社研究班の解析結果等を踏まえて,平成7年5月12日に日本輸血学会から改訂 ガイドラインが示され,担癌患者の手術における輸血も照射適応症に加えられた。し かし,輸血後GVHDの発症はその後も続き,医療現場での本合併症に対する対策の 強化を促す必要が生じ,平成8年4月には輸血後GVHDに対する「緊急安全性情報」 が出されるに至った。しかるに,その後の発生状況から,同年12月には再度「緊急 安全性情報」が出されるなど医療現場での予防措置の強化が望まれている。同月,日 本輸血学会からは,医療現場に対して具体的かつ適切な予防対策を示すことの必要性 から,新たに「輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドライ ンIII」が作成されているが,この「ガイドラインIII」では,輸血後GVHDの危険 因子等の解説,放射線予防等の発症方法に対する考え方の記述が加えられている。以 下に,この「ガイドラインIII」を紹介して,臨床医の輸血後GVHD予防に対する 認識が喚起されることを切望する。 輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドラインIII −ガイドライン要旨− 「輸血後GVHD予防の基本方針」  1.適正輸血  2.自己血輸血  3.血縁者からの輸血の回避  4.新鮮血輸血の回避  5.輸血用血液の放射線照射による予防(白血球除去フィルターの予防効果は不確    実) 「輸血用血液の放射線照射の適応」 (1)放射線照射が適応となる患者  1.心臓血管外科手術  2.癌の外科手術  3.先天性免疫不全症  4.造血幹細胞移植  5.胎児,未熟児  6.新生児交換輸血  7.大量出血・重篤な外傷 (2)放射線照射を考慮すべき患者  1.悪性リンパ腫  2.白血病およびその他の造血器腫瘍  3.強力な化学療法,放射線療法を受けている固形腫瘍  4.臓器移植を受け免疫抑制状態にある患者  5.高齢者 (3)その他,医師が適応と認めた場合 「放射線照射の対象となる輸血用血液」 (1)血縁者(親子,兄弟)からの輸血用血液 (2)新鮮な血液ほど危険である (採血後,保存日数を経るに従って分裂増殖能のあるリンパ球は減少する。) ・採血後3日目までの血液は適応疾患に限らず極力照射する。 ・これまでの報告で採血13日間保存した血液でも輸血後GVHDが発症しているの  で,適応となる外科手術患者では採血後2週間以内の血液に照射を考慮する。 ・背景に免疫不全のある患者では,採血後2週間以上の輸血用血液でも保存期間に限  らず照射をする。 (3)新鮮凍結血漿を除くすべての輸血用血液が照射の対象となる (・全血製剤・赤血球製剤・血小板製剤・顆粒球濃厚液・新鮮液状血漿) 「放射線照射線量」 ・輸血後GVHD発症予防の放射線量は15Gy−50Gyの範囲で行なう。 「放射線照射済み血液の扱い」 ・照射後の血液は上清のカリウム値が上昇するので,新生児・腎不全患者の輸血,急  速大量輸血では照射後速やかに輸血を実施する。 ・上記以外の患者では,使用期限まで(他の患者への転用も含め)輸血に使用してよ  い。 「輸血後GVHD発症後の対策」 ・有効な治療法は確立されていない。 −ガイドライン本文− 「1」輸血後GVHDの原因と病態  輸血後GVHDは,輸血用血液中に含まれる供血者のリンパ球が排除されず,むし ろ患者のHLA抗原を認識し,急速に増殖して,患者の体組織を攻撃,傷害すること によって起きる病態である。以前は,免疫不全の患者にのみ発症すると考えられてい たが,原病に免疫不全のない患者でも,HLAの一方向適合(HLA one‐way match :「2」(2)Ba)参照)を主要な条件として発症することが明らかになっている。  典型的な輸血後GVHDは,輸血を受けてから1−2週間の後に発熱・紅斑が出現 し,肝障害・下痢・下血等の症状が続き,最終的には骨髄無形成・汎血球減少症,さ らには多臓器不全を呈し,輸血から1ケ月以内にほとんどの症例が致死的な経過をた どっている。  輸血後GVHDに対して有効とされる治療法は未だ確立されていないので,発症予 防が唯一の対策方法である。 「2」輸血後GVHDの危険因子  従来,輸血後GVHDは,免疫機能の著しく低下している患者に,稀に発症すると されてきた。しかし,本邦で報告されている輸血後GVHD症例の大多数が,免疫機 能は一般的に正常と判断される外科手術患者である。  これまでのところ,輸血後GVHD発症の危険因子としては,以下の因子が考えら れている。 (1)輸血用血液側の因子  GVHDを引き起こす免疫応答と分裂増殖の能力(活性)のある供血者リンパ球が 輸血に伴い患者に輸注されること。 A.新鮮な血液の使用  ・新鮮な血液,特に採血後3日以内の血液がより危険である。  ・リンパ球の機能は採血後次第に低下するが,採血後13日間保存した赤血球濃厚   液での発症例も報告されており,採血後2週間以内のリンパ球には免疫応答と分   裂増殖能力(活性)が残されている可能性があると考えるべきである。  ・新鮮凍結血漿を除く全ての輸血用血液には活性のあるリンパ球が含まれる可能性   がある。 (2)対象患者側の因子  輸血された供血者リンパ球を,患者体内から排除できない場合 A.免疫不全状態にある患者  ・先天性免疫不全症  ・造血幹細胞移植,臓器移植  ・胎児,未熟児,新生児  ・白血病,悪性リンパ腫  ・強力な抗癌剤投与・放射線照射・免疫抑制療法を受けている患者 B.原病に免疫不全のない患者で供血者リンパ球を排除できない場合。 a)患者と供血者とのHLAの一方向適合(HLA one‐way match)  ・患者が供血者を認識する方向ではHLAが適合しているため供血者の細胞は拒絶   されない。一方,供血者が患者を認識する方向では不適合のため,供血者リンパ   球は患者組織を攻撃する。この二つの条件が重なった場合を一方向のHLA適合   (HLA one‐way match)と称している。HLA one‐way matchの輸血の確率   は数百回に一回とされている。  ・血縁者間輸血では同一HLAを共有していることが多く,HLAの一方向適合に   なる可能性が高いので,特に危険である。  ・通常の輸血に於いて,HLAの組合せを事前に検査することは,困難である。 b)HLAの一方向適合に加えて,発症が多い条件  ・外科手術(特に心臓血管外科例,担癌症例,重篤な外傷例,急性の大量出血例)  ・高齢(最近の発症では8割以上が65才以上の高齢者である)  ・初回輸血(頻回輸血経験者より危険性が高い) 「3」輸血後GVHD予防の基本方針  輸血後GVHDに対して有効とされる治療法はまだ確立されていないので,発症予 防が唯一の対策方法である。 (1)適正輸血  輸血の適応,使用血液の選択を適正に行ない,不必要な輸血の回避に努める。特に, 採血後まもない血液の輸血選択は慎重に行なうべきである。  同種血輸血では輸血後GVHDを含む免疫学的副作用,ウイルス感染症伝播が完全 には否定できないので,輸血が必須で,そのリスクを上回る効果が期待できる時にの み輸血を行なう。 (2)自己血輸血  術前貯血式,希釈式,あるいは術中回収式などの自己血輸血を行い,同種血輸血の 回避に努める。 (3)血縁者からの輸血の回避  血縁者(親子,兄弟など)間では同一のHLAを共有することが多く,患者と供血 者の間にHLAの一方向適合(HLA one‐way match:「2」(2)Ba)参照)と なる可能性が高い。従って,血縁者からの輸血は輸血後GVHD発症の危険が高く回 避すべきである。 (4)新鮮血輸血の回避  濃厚血小板輸血等を除いては,採血後3日目までの新鮮な血液の輸血は極力回避す る。 (5)輸血用血液の放射線照射による予防  上記の同種血輸血回避の努力が重要であるが,同種血輸血,特に採血後まもない血 液を輸血する場合には,輸血用血液に放射線照射を行うことが最も有効な予防方法で ある。 (6)緊急輸血時の対応  緊急輸血が必要と判断され照射血液が即座に入手できない場合には,患者の救命を 優先し,未照射血の使用を躊躇すべきではない。 (7)白血球除去フィルターの予防効果は不確実  白血球除去フィルターを使用した血液によっても輸血後GVHD発症の報告があり, 現在のところ輸血後GVHDの予防効果は確認されていない。 「4」輸血用血液の放射線照射の適応  具体的には以下の疾患あるいは輸血の条件の際に,輸血後GVHD予防のための照 射が必要,あるいは考慮すべきである。 (1)放射線照射の適応となる患者  以下の輸血をする場合には放射線照射が必要である。  ・心臓血管外科手術  ・癌の外科手術  ・先天性免疫不全症  ・造血幹細胞移植  ・胎児,未熟児  ・交換輸血を行なう新生児  ・大量出血・重篤な外傷 (2)放射線照射を考慮すべき患者  上記(1)以外にも,以下の患者に輸血を行なう場合には発症が多く報告されてお り,照射を考慮すべきである。  ・悪性リンパ腫  ・白血病およびその他の造血器腫瘍  ・強力な化学療法,放射線療法を受けている固形腫瘍  ・臓器移植を受け免疫抑制状態にある患者  ・高齢者 (3)その他医師が適応と認めた場合  輸血後GVHDの発症機序を考慮し,上記(1)(2)の場合以外にも発症が否定 できない場合には,医師の判断により輸血用血液の放射線照射を考慮する。 「5」放射線照射の対象となる輸血用血液 (1)血縁者(親子,兄弟)からの輸血  血縁者間の輸血では,輸血後GVHDの危険が高く(「2」(2)Ba)参照),極 力回避すべきであるが,止むを得ず輸血する事になった場合には必ず放射線照射を行 い発症を予防する。 (2)輸血用血液の保存期間  新鮮な血液ほど輸血後GVHDのリスクが高い。採血後3日目までの血液は特に発 症の可能性が高く,その使用が止むを得ない場合には適応疾患に限らず放射線照射を 考慮する。  分裂増殖能のあるリンパ球は採血後の保存期間と共に減少するが,採血後13日間保 存した輸血用血液を使用した手術例でも輸血後GVHD発症が報告されている。従っ て,外科手術例等では,少なくとも採血後2週間までの輸血用血液に照射を考慮する。 また,背景に免疫不全のある疾患では保存期間に限らず,可能な限り照射を行い輸血 後GVHDの発症を予防する。 (3)輸血用血液の種類  分裂増殖能のあるリンパ球を含む全ての輸血用血液では,その使用により輸血後G VHDの報告が見られているので,前記適応の輸血に使用するときは放射線照射の考 慮の対象になる。具体的には以下の各製剤である。  ・全血製剤  ・赤血球製剤(白血球除去赤血球,凍結赤血球を含む)  ・血小板製剤  ・顆粒球濃厚液(顆粒球輸血用血液)  ・新鮮液状血漿   但し,新鮮凍結血漿による輸血後GVHDの発症は確認されていない。 「6」放射線照射線量  輸血後GVHD発症予防の放射線量は,15Gy−50Gyの範囲で行なうべきで ある。  輸血後GVHDの原因であるTリンパ球の増殖を抑制するためには,最低15Gy の線量が必要である。一方,赤血球・血小板・顆粒球の機能や寿命を損なわない上限 の線量は50Gyである。そこで,放射線照射に際しては,血液バッグのいずれの部 位に対してもこの範囲の線量(15Gy−50Gy)が照射されるようにする。  放射線照射装置や用いられる線源および放射線のエネルギーにより,特性が異なる ことに留意すべきである。照射条件の設定に際しては,照射野に血液バッグの最大量 を収納した状態で線量分布を測定し,線量率の減衰や散乱線による線量の影響を考慮 に入れて,すべての血液バッグで上記の範囲の線量が達成されるように条件を設定す る。また,照射装置の定期点検により,適宜照射条件の補正を行う。 「7」放射線照射済み血液の扱い  照射済み血液を他の患者に転用してもよい。また,放射線照射後も以下の諸変化に 注意をすれば,本来の使用期限まで輸血に使用可能である。 (1)血液上清カリウム濃度の変化  放射線照射後の輸血用全血,赤血球では,保存期間に伴う上清カリウム値の上昇が 著しい(表1)。カリウムの急速輸注は高カリウム血症による心停止の可能性がある と言われており,注意が必要である。特に,新生児,未熟児,腎不全患者,急速大量 輸血患者では放射線照射後速やかに輸血することが必要である。ちなみに,採血後2 日目に15Gy放射線照射し採血後21日目まで保存した400ml由来(2単位) MAP加赤血球の上清には約6mEqのカリウムが含まれており,これを5バッグ( 10単位)/時間で急速輸血をすると,体重60kgの患者では約0.5mEq/ kg患者体重/時間の負荷となる。しかし,照射後の製剤中の上昇したカリウム値が 許容できる患者に対しては,放射線照射後も,本来の使用期限内まで輸血に使用可能 である。 (2)血液の細胞成分の変化  上記の範囲の放射線照射では,輸血用血液の赤血球,血小板,顆粒球の寿命および 機能にほとんど影響を与えないと考えられている。  なお,15Gy−50Gyの範囲では照射して21日間保存した血液において,輸 血24時間後の赤血球回収率は約80%であると報告されている(表2)。 「8」輸血後GVHD予防のための院内体制の整備と血液センターの協力  医療機関では,輸血部門や輸血療法委員会を中心に,輸血の適応を厳密に検討し, 無輸血手術,自己血輸血による同種血輸血回避をはかることが大切である。  輸血を常時行なっている中核的病院では院内に放射線照射装置を設置するよう努力 すべきであり,24時間体制で遂行できるように院内体制の整備をすることが望まし い。  放射線照射済みの血液は未だ製剤としては認可されていないが,血液センターは血 液の所有権が医療機関に移転された後に,医療機関に対する技術協力として放射線照 射を行なっている。放射線照射装置のない医療機関では,適正輸血の励行とともに, 血液センターに放射線照射の協力を依頼し輸血後GVHDの予防に努めるべきである。 「9」輸血後GVHD発症後の対策  臨床症状および一般検査所見から輸血後GVHDが疑われる症例が現れた場合には, 担当医は病院輸血部門を通じて,輸血の専門医に相談するとともに,血液センターに も協力を求め,共同で診断と原因解明に努める。確定診断は,臨床症状および一般検 査の所見とともに,患者末梢血中のリンパ球のキメラ状態を証明することが必要であ る。リンパ球のキメラの証明にはHLAの型判定,あるいはDNAにおけるマイクロ サテライトなどの多型性を指標とする方法が現在最も有効とされている。この検査に は血液センターの協力が得られる。  有効な治療法はまだ確立されていないが,輸血後GVHDが確定した場合には,輸 血の専門医に相談し,最新の情報による治療法を試みるべきである。対症的には,骨 髄移植の直後に準じた強力な支持療法が先ず必要とされ,白血球減少,血小板減少, 多臓器不全に対して,無菌操作,抗生剤投与,蛋白分解酵素阻害剤投与が行なわれて いる。この支持療法とともに,供血者リンパ球排除の為の治療処置が必要とされるが, 未だ確実な方法はない。 表1 赤血球製剤中の上清カリウム(K)値 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  種類    由来   照射量  測定値(*)   平均上清量  総K量/bag       (ml)  (Gy)  (平均±SDmEq/l)  (ml)    (mEq) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 人全血液   400    0     24.3±3.0    275      6.68        400    15     30.4±3.7    275      8.36        400    25     33.9±2.0    275      9.32 赤血球MAP 400    0     35.2±3.5    110      3.87        400    15     54.2±1.9    110      5.96        400    25     59.2±2.1    110      6.51 濃厚赤血球  400    0     44.2±2.8     80      3.54        400    15     62.8±1.2     80      5.02        400    25     68.5±2.9     80      5.48 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *:採血後2日目に放射線照射を行い採血後21日間保存した後の値(n=5)                    (日本赤十字社中央血液センター資料より) 表2 放射線照射後21日間保存された赤血球の輸血24時間後における回収率 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    血液            照射線量(Gy)   輸血24時間後の回収率(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 赤血球製剤 AS−3(文献1)     0          90.4                     20          82.7 赤血球製剤 RBC(文献2)      0          83.5                     30          76.1 赤血球製剤 PRC(文献3)      0          81.7                     50          82.6                    100          83.8                    200          78.4 全血製剤 CPD(文献3)       0          81.2                     50          78.0                    100          84.3                    200          77.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− AS−3:我国のMAP加赤血球に相当する赤血球保存添加液加赤血球浮遊液 RBC,PRC:赤血球濃厚液,CPD:CPD加全血液   1)Friedman KD, et al, Transfusion 31:50S(1991)   2)Kagen L, ISBT / AABB Joint Congress Abstract, S250(1990)   3)Button LN, et al, Transfusion 21, 419‐426(1981)