平成11年8月30日

医薬品等安全性情報156号(概要)

1. 塩酸チクロピジンによるTTPについて

該当商品名:パナルジン錠、細粒10%(第一製薬)他
年間推定出荷額:500億円
塩酸チクロピジン投与に伴う血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)については、海外文献を基に平成7年6月に「海外での重大な副作用」として注意喚起を行ったが、その後、国内においても同様の症例が報告されたため、平成8年9月に「重大な副作用」の項に記載を行った。更に、塩酸チクロピジンによるTTP発症に関する論文や米国での添付文書改訂が行われたことから、平成10年9月に使用上の注意をより詳細に記載する措置を講じてきた。しかし、本年3月までの半年間で報告数が増加し、発売以来22例(うち死亡例が6例)のTTPが報告されたため、本年6月に「警告」の項を設け、併せて「緊急安全性情報」の配布を指示し、医療現場への情報提供の徹底を図ったので紹介する。

2.プロポフォールの高齢者への投与等について

該当商品名:1%ディプリバン注(ゼネカ)
年間推定出荷額:44.7億円
プロポフォールは平成7年9月に「全身麻酔の導入及び維持」の効能・効果で承認された全身麻酔剤であるが、本年3月に「集中治療における人工呼吸中の鎮静」の効能・効果が追加となった。国内における使用成績調査の集計結果において高齢者に対する副作用発現率が高齢者以外と比較し有意に高かったことにより、注意喚起のため「慎重投与」の項に新たに「高齢者」を追加記載することとした。また、国内での報告はないが、海外において本剤を「集中治療における人工呼吸中の鎮静」を目的として通常量より高用量にて投与した場合に横紋筋融解症が報告されていることからこれらについて紹介する。

3.クエン酸シルデナフィルの症例報告について

該当商品名:バイアグラ錠25mg,50mg(ファイザー)
推定出荷額(発売後5か月間):42億円
クエン酸シルデナフィルは、勃起不全治療薬として本年1月に承認され、これまでに心筋梗塞10例を含む33例の報告があった。これらのうち、医師から処方を受けていたことが確認されているのは8例のみであり、その他は個人輸入と思われる外国製剤、友人からの譲渡された製剤を使用した例、又は入手経路不明の例である。承認後も依然として安易な個人使用が多いことが示唆されているので注意喚起を行うものである。

4.医療用具における「コンピュータの西暦2000年問題」への対応について(その3)

医療用具における「コンピュータの西暦2000年問題」への対応状況については、医薬品等安全性情報152号(平成11年2月)及び155号(平成11年6月)において、調査結果を紹介してきた。さらに、平成11年3月末日時点での医療用具業界における2000年問題への対応状況を把握するため、医療用具の製造業者、輸入販売業者、外国製造承認取得者及び国内管理人を対象とした調査を行い、本年7月にその結果を公表したので概要を紹介する。

 

照 会 先
厚生省医薬安全局安全対策課
担当:俵木、大西
03-3503-1711(内線)2748、2757

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