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平成10年10月15日

医薬品等安全性情報150号(概要)


1.白血球除去フィルター使用の輸血時における血圧低下、ショックについて

該当製品:

・セパセルPL(旭メディカル)
・イムガードIII−PL(テルモ)
・ポール輸血フィルターPL(川澄化学工業、日本ポール)
・ポール輸血フィルターピュアセルPL(川澄化学工業、日本ポール)
・セパセルRZ(旭メディカル)
・イムガードIII−RC(テルモ)
・サイタフィルター(ニプロ)
・ポール輸血フィルターRC(川澄化学工業、日本ポール)
・ポール輸血フィルターRC400(川澄化学工業、日本ポール)

年間推定出荷額:46億円

 血液製剤(濃厚赤血球製剤、血小板製剤)の輸血に際し、発熱、悪寒、蕁麻疹等の白血球に起因する副作用を防止する目的で、白血球除去フィルターが使用されている。白血球除去フィルターを使用して輸血を行った際、血圧低下、ショック症状が発現した症例が30例(血小板製剤輸血時に22例、赤血球製剤輸血時に8例)報告されている。
 ショック等については一部の製品について既に添付文書等に記載されていたが、今般、白血球除去フィルター全製品について統一した内容で「重要な基本的注意」として記載し、注意喚起を行った。


2.フルタミドによる肝障害について

該当製品:オダイン錠(日本化薬)

年間推定出荷額:80億円

 フルタミドは抗アンドロゲン作用を有する前立腺癌治療薬である。これまでに8例の死亡に至った重篤な肝障害(このうち5例が平成10年)が報告されたことから、本年8月に緊急安全性情報を配布し注意喚起したところであるが、今回、改めて副作用症例等を紹介し注意喚起を行うものである。


3.シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌済脳外科用パッドとの併用による脳動脈の閉塞性血管病変について

該当製品:

 (シアノアクリレート系外科用接着剤)

・ビオボンド(吉冨製薬)
・アロンアルファA「三共」(東亞合成)
 (滅菌済脳外科用パッド)
・滅菌ベンシーツ(川本産業)

年間推定出荷額:

・シアノアクリレート系外科用接着剤:1億円
・滅菌済脳外科用パッド:1億円

 脳動脈瘤の破裂防止等の脳外科手術において、滅菌済脳外科用パッドでラッピングの後にシアノアクリレート系外科用接着剤で固定を行った際に、脳動脈における狭窄や閉塞等閉塞性血管病変の発現症例が、これまでに16例報告されている。既に一部のシアノアクリレート系外科用接着剤については添付文書に記載されていたが、今般、シアノアクリレート系外科用接着剤及び滅菌済脳外科用パッドの双方に、「使用上の注意」にその旨を記載し、注意喚起を行った。


4.アルブミン製剤の適正使用について

 今般、英国コクラン研究所から、既存の無作為抽出比較試験24報を系統的な総合評価を行った結果、重篤な循環血流量減少、熱傷、低アルブミン血症等の患者で、アルブミンを投与した群と投与していない群とで比較検討したところ、投与群で死亡率が高かったとの論文が報告されたので紹介する。
 このコクラン研究所の報告を受け、現在、我が国においては、中央薬事審議会において専門家による検討が行われているところであるが、各国においてもアルブミンの適正使用に関して注意喚起がなされているところである。今後ともアルブミンの使用にあたっては使用基準を踏まえ、適用を十分に検討するとともに患者の状態を十分に観察する等、慎重に行うことが必要である。



問い合わせ先 

厚生省医薬安全局安全対策課

担 当:松 田 (2750)

    長谷部 (2753)

電 話 (代)03-3503-1711