【番号】     0002  大分類     その他の家庭用品  タイトル    ニコチン(タバコ)  分類番号    Q011  小分類     たばこ ニコチン Nicotin 液体ニコチン Cigarette  性状・成分   ニコチン:無色、無臭、刺激性の味をもつ油状液体 水に溶け易い          タバコ:1本中15〜30mg、低含有量製品は1本中0.1mgの              ニコチン含有          液体ニコチン:1滴中23〜33mgのニコチン含有   【作用の概要】  症状発現時間           重症:摂取直後、軽症の症状に続き30分以内に重症症状発現           軽症:30分前後、24時間経過後も無症状なら中毒の心配はない          乳幼児のタバコ誤飲           タバコを口に入れると刺激性のためすぐ吐き出す           食べても胃刺激により大部分を嘔吐するので重篤な中毒症状出現           は少ない           タバコ浸出液を飲んだときは重篤な症状が出現する  薬理作用    *  毒作用     神経毒          自律神経、中枢神経、骨格筋をはじめ刺激し後に抑制する          呼吸筋麻痺          循環器系に対し交感神経刺激作用出現  体内動態          吸収     タバコ:胃内のpHではニコチンの溶出が遅れ                     吸収されにくい                     腸管からはよく吸収される                     タバコは水に浸けると1時間で50〜70%                     のニコチンが溶出するので、浸出液服用時                     の吸収は早く非常に危険                 ニコチン:消化管、肺、皮膚より容易に吸収          分布     *          代謝・排泄  80〜90%が肝で代謝され、腎から排泄される                 大量摂取でも16〜24時間以内に完全に排泄される          半減期    *          蛋白結合   蛋白結合率:20%  中毒量     嘔吐発現量:2〜5mg(ニコチンとして)          急性中毒発現血中濃度:0.5〜1mg/dl  致死量     小児:10〜20mg(タバコ約1本)          成人:30〜60mg(0.5〜1mg/kg)  死因      呼吸筋麻痺、早期死亡は迷走神経(心臓神経)麻痺による心停止  その他     *   【症状の概要】  *  中枢神経    軽症:めまい 頭痛 顔面蒼白          重症:強いめまいと頭痛 聴力・視力障害 神経錯乱 全身脱力             →意識障害 痙攣  瞳孔      縮瞳 →散瞳  呼吸器     初期:過呼吸          重症:呼吸筋麻痺(呼吸停止)  循環器     重症:血圧上昇 頻脈 不整脈  消化器     軽症:悪心 嘔吐 流涎          重症:腹痛 下痢 激しい嘔吐  電解質・代謝  *  肝       *  腎・泌尿器   *  体温      *  皮膚      重症:冷汗  神経・筋    軽症:手指振戦          重症:強い脱力  血液      *  その他     *   【治療の概要】  *  全身管理    酸素吸入、人工呼吸など          痙攣:ジアゼパム、バルビツレート          不整脈:抗不整脈剤          副交感神経刺激症状(気道分泌物の増加 流涎 下痢)                   :硫酸アトロピン          高血圧:レギチーン  催吐      咽頭刺激、牛乳・水を飲用後再度試みる  胃洗浄     水または生食で、あれば濃い茶、0.01%過マンガン酸カリ、          0.5%タンニン酸が有効  吸着剤     活性炭(1g/kg→水100〜200ml)、アドソルビン  下剤      硫酸マグネシウム(0.5g/kg→水100〜200ml)または          マグコロール(5ml/kg)  強制利尿    有効  血液浄化法   血液透析、血液潅流は無効  拮抗剤・解毒剤 自律神経症状に対し、アトロピン2mgを15〜30分毎に静注し、          瞳孔が散大するまで反復投与  その他     *   【その他一般】  *  禁忌      制酸剤(ニコチン吸収促進)、ニコチン類似作用をもつ中枢性          呼吸刺激剤、ロベリンなどの興奮剤は禁忌  合併症の処置  *  その他     *   【参考文献】   急性中毒処置の手引          急性中毒情報ファイル           救急医学特集−中毒−          救急中毒ケースブック   【参考症例】   *